「先進医療ハイウェイ構想」を年度内に拡大へ―再生医療と医療機器に
2014.10.22.(水)
最先端の医療技術と保険診療との併用を認めるかどうか判断するまでの期間を大幅に短縮する「最先端医療迅速評価制度」(先進医療ハイウェイ構想)の枠組みが、薬事未承認の医薬品を使った再生医療の技術などに拡大される方向です。6月に閣議決定された「日本再興戦略」を踏まえた対応で、厚生労働省は年度内の運用開始を目指すとしています。
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中央社会保険医療協議会が開いた22日の総会で、厚労省の拡大案が了承されました。
先進医療ハイウェイ構想では、現在の先進医療の枠内みの中で最新の医療技術と保険診療とを早く併用できるようにするため、外部機関による審査などを導入します。医療機関が技術の実施を申請してから併用が認められるまでには、従来の先進医療だと6-7か月程度かかりますが、ハイウェイ構想ではこれを概ね3か月にまで短縮させます。
薬事未承認の抗がん剤を使った最先端の医療技術での運用が13年11月にスタートしていて、未承認診療のノウハウを蓄積している「臨床研究中核病院」などからの申請を受けて、外部機関の「国立がん研究センター」が実施計画を審査しています。
政府は6月に閣議決定した「日本再興戦略」の中で、再生医療と医療機器への拡大を打ち出し、これを受けて厚労省が拡大案をまとめました。それによりますと、新たにスキームに組み込むのは、人体への影響が明らかでなくリスクが最も高い、ES細胞やiPS細胞などによる「第1種再生医療等」に該当する技術と、医療上の必要性が高く早期導入が妥当だと判断された薬事未承認の医療機器による技術です。
臨床研究中核病院などからの申請を受けて、先進医療技術審査部会の「再生医療分科会」(仮称)か「医療機器分科会」(同)が実施計画を審査し、実施が妥当と認められた技術について保険診療との併用を認めるという流れです。
臨床研究中核病院は国際水準の臨床研究の拠点で、14年10月現在、北海道大学病院など15か所が選定されています。新しい薬物や医療機器の治験を世界に先駆けて行う「早期・探索的臨床試験病院」(慶応大学病院など同5か所)や、第1種再生医療等の承認を受けたことがある医療機関などによる申請も想定しています。
22日の中医協総会で厚労省は、分科会による審査スピードを上げるため、委員を招集しない「持ち回り審議」を一部に活用する方針を示しましたが、委員からは「スピードよりも安全性を重視すべき」などと、これへの慎重論が相次ぎました。