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2017年度の初期臨床研修医の募集定員、「希望者の1.16倍」に設定―厚労省

2016.1.5.(火)

 2017年度における初期臨床研修医の募集定員(全体)は「研修希望者の1.16倍」となるよう設定する―。厚生労働省はこのような方針を、12月24日に開かれた医道審議会・医師分科会の「医師臨床研修部会」に提示しました。

 また基幹型臨床研修病院の新規指定次期を前倒しする考えも示されています。

募集定員と研修希望者の割合、段階的に縮小していく

 2004年に医師臨床研修制度が改正され、医師が臨床に携わるためには、2年以上の臨床研修を受けなければなりません(必修化)。その後、医師臨床研修制度は状況に合わせた見直しが重ねられ、2015年度からは次のような見直しが行われています。

(1)基幹型病院に必用な症例数は「年間入院患者数3000人以上」の基準を維持する。なお、3000人に満たない新規申請病院も良質な研修が見込める場合は訪問調査により評価する

(2)研修希望者に対する募集定員の割合を1.23倍から1.1倍へ段階的に縮小していく

(3)都道府県別の募集定員上限の計算式を一部見直し、新たに高齢者人口、人口当たり医師数も考慮する

(4)都道府県の役割を強化するため、「都道府県の上限」の範囲内で各病院の定員を都道府県自らが調整できる枠を追加する

 このうち(2)の「募集定員の割合」について、2016年度には1.18倍に上限が設定されていますが、実績を見ると1.17倍となりました(全体の募集定員1万1272人 ÷ 研修希望者9637人 = 1.169)。この理由について厚労省は、▽研修希望者数が推計よりも40人程度多かった▽募集定員が推計よりも50人程度少なった―ことを挙げています。

 この状況に鑑みて、厚労省は2017年度における全体の募集定員を「研修希望者の1.16倍」とする考えを示しました(募集定員は11404人、研修希望者は9831人と推計)。

 募集定員と研修希望者の割合は、2008年には1.347倍でしたが、2011年には1.237倍となり、その後、前述の見直しが行われ、2017年には1.16倍と縮小する見込みです。募集定員が研修希望者よりも余りに多い場合、「都市部に研修医が集中し、地方部で研修医が不足する」という不都合が生じます。これを是正するために縮小措置が採られているのです。

初期臨床研修医の募集定員と受け入れ実績の推移を見ると、両者の差が縮小してきていることが分かる

初期臨床研修医の募集定員と受け入れ実績の推移を見ると、両者の差が縮小してきていることが分かる

 

 なお、2016年度に東北薬科大学に医学部が新設されるために、2017年度には宮城県における研修医の募集定員が大幅に増加します(医学部の入学定員が増加した場合、次年度から増員分を研修医の募集定員に反映させるため)。すると、宮城県のみで募集定員の上限が著しく増加し、他の都道府県では相対的に上限の減少幅が大きくなってしまいます。

 そこで厚労省は、「東北薬科大学の医学部新設に係る入学定員の増員分については、2017年度の2020年度の4年間、毎年、漸増させていく」考えが示されています。

研修指定を受けてからマッチングに参加できるよう、スケジュールを前倒し

 臨床研修医の募集を行える病院(臨床研修指定病院)には、次の3種類があります。

(1)既に基幹型臨床研修病院に指定され、過去3年間のいずれかの年に臨床研修医の採用実績がある病院

(2)新規に基幹型臨床研修病院に指定された病院

(3)経過措置として「基幹型臨床研修病院の指定があると見做され」、その継続が適当と認められた場合

 このうち(2)の新規指定、(3)の指定継続の決定は毎年8月末に行われますが、当該病院では「新規指定がなされる」という前提で、指定・決定の前から研修医の採用活動やマッチングへの参加などを行っているのが実態です。

現行の初期臨床研修医の募集スケジュール、マッチングに参加する時点で新規指定などは決定していない

現行の初期臨床研修医の募集スケジュール、マッチングに参加する時点で新規指定などは決定していない

 しかし、指定・決定されるか否かが未定のままにマッチングに参加することは、病院にとっても、研修希望者にとっても不安定です。そこで厚労省は「新規指定、指定継続の決定を前年度の3月末までに行う」(前倒しする)方針を示しています。これにより、晴れて新規指定・指定継続の決定を受けてからマッチングに参加することが可能となります。

基幹型臨床研修病院の新規指定などのスケジュールを前倒しし、指定が決定してからマッチングに参加することを可能とする

基幹型臨床研修病院の新規指定などのスケジュールを前倒しし、指定が決定してからマッチングに参加することを可能とする

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