ベンチマークと臨床指標でがん医療の均てん化を推進―CQI研究会、8月開催
2016.1.8.(金)
がん医療の質向上を目指す「CQI(Cancer Quality Initiative)研究会」(代表世話人:岩手県立中央病院・望月泉院長)が、8月27日に開催されます。約100病院の診療プロセスをベンチマーク分析したり、医療の質を計測する「臨床指標」のアンケート調査をしたりなどすることで、国内のがん医療のさらなる均てん化を目指します。
CQI研究会は、がん医療に特化した医療ビッグデータ分析の研究会です。完全会員制で、DPCデータなどを用いてベンチマーク分析し、その結果をフィードバックすることで、各病院の医療の質向上を支援します。分析はGHCが担当しています。
取り扱うデータは、会員間に限り、病院名を明かして実施します。そのため、参加病院がさまざまな診療プロセスで競い合いやすい環境となっており、質の改善に向けた情報やノウハウの共有の場となっています。会員で安佐市民病院の多幾山渉院長は、「『負けていられない』と思い参加を決めた」と当時のCQI研究会への参加動機を振り返ります(参考記事『最優先すべきは医療の質向上、高度急性期と品質の見える化を推進』)。
同院はここ数年で、経営と医療に関する重要な指標を劇的に向上させています。医療の品質の「見える化」も進め、2015年11月には医療の質を具体的な数値として示した「臨床指標」の公開にも踏み切りました(安佐市民病院が公開している臨床指標のページはこちら)。
2007年に栃木県立がんセンター、千葉県がんセンター、神奈川県立がんセンター、愛知県がんセンター、四国がんセンターのがん専門病院と岩手県立中央病院の6施設で設立したCQI研究会ですが、2015年の第11回の会合では、参加施設が108施設に達しました(関連記事『大腸がんの在院日数、短縮傾向もなお病院格差-CQI研究会が経年分析』)。
第12回の会合は、8月27日に都内で開催されます。診療プロセスのベンチマーク分析のほか、独自の臨床指標を用いたアンケート調査も実施。それら情報について共有することで、さらなる医療の質向上に役立てる方針です。
参加病院には、がん医療の質向上を支援する「Cancer Dashboard」が無償配布されます。「Cancer Dashboard」は、「改善のポイントが瞬時に分かる」をコンセプトにGHCが開発した次世代病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」の一部機能を無償で活用することができます。例えば、肺がんの診療プロセスについてベンチマーク分析したり、がん関連加算の算定率を把握したりすることなどができます。会員向け情報の配信や資料配布などにも対応しています。
参加エントリーは2月をメドに開始します。参加対象は全国のがん診療連携拠点病院となります。申し込みはGHCのホームページで受け付ける予定で、申し込みページを公開したら別途、ご案内させていただきますので、参加されていないがん診療連携拠点病院は是非、ご検討ください。