2014年度、市町村国保は3585億円の赤字、全体の56.4%が赤字保険者―厚労省
2016.2.12.(金)
2014年度に赤字となった市町村国保は967で、前年度よりも62増加。全体(1716保険者)の56.4%を占めている。赤字額も前年度から104億円増加し、863億円となった―。このような状況が、厚生労働省が9日に公表した2014年度の「国民健康保険(市町村)の財政状況について―速報―」から明らかになりました。決算補填目的などで繰入金を投入する「法定外繰入」を収入から除外すると、14年度は3585億円の赤字になっています(厚労省のサイトはこちら)。
2014年度の市町村国保全体の収入は14兆3855億円で、前年度に比べて361億円・0.3%増加。一方、支出は14兆1466億円で、前年度から603億円・0.4%増加しました。
また、単年度収入(13兆9849億円)から単年度支出(14兆59億円)を差し引いた単年度収支差引額は210億円の赤字となっており、ここに国庫支出金精算額等(96億円)を考慮すると、精算後単年度収支差引額は113億円の赤字(1桁目が収入、支出などと合いませんが、端数処理の関係です)となっています。
さらに、決算補填などを目的とする3472億円を収入から除外すると、精算後単年度収支差引額は「3585億円の赤字」で、非常に厳しい財政状態が続いていると厚労省は見ています。
次に、赤字保険者の状況を見ると、単年度収支差で見た場合、全1716保険者のうち56.4%にあたる967保険者が赤字という状況です。前年度から62保険者・3.7%増加しています。
赤字保険者の赤字額を合計すると863億円で、前年度から104億円増加しています。
市町村国保には、他の制度(健康保険組合など)と比較して、▽年齢構成が高い▽1人当たり医療費水準が高い▽所得水準が低い▽保険料(税)負担率も著しく高い―という特徴があり、かねてより「財政の安定化」が重要課題として認識されてきました。
そこで、昨年(2015年)5月に成立した「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」では、市町村国保への補助を段階的に引き上げる(15年度から低所得者対策として保険者支援制度を拡充【約1700億円】、17年度以降は、毎年約1700億円の国費を毎年度投入など)とともに、2018年度から財政責任主体を都道府県に移管します(関連記事はこちらとこちら)。
このほかにも「医療費適正化対策の充実」などが行われますが、国保財政が安定化に向かうのか、注目する必要があります。
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