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骨髄移植などの合併症である腸管急性GVHD、腸内細菌叢の移植で症状が改善―東京都病院経営本部

2016.3.1.(火)

 ステロイド治療に抵抗性などがある腸管急性移植片対宿主病に対して、便細菌叢移植を行ったところ、すべての症例で効果が見られ、一部ではステロイドの量を大幅に減量できた―。このような臨床研究の成果を、東京都病院経営本部が2月29日に公表しました。

移植した血液細胞が患者の腸などを攻撃するGVHD、時に致命的なケースも

 白血病などの難治性血液疾患に対し、唯一根治が期待できる治療法として骨髄移植などの同種造血幹細胞移植があります。しかし、この治療法には「移植片対宿主病(GVHD)」などの合併症が発生することがあります。

 GVDHは、移植された血液細胞が、患者の体を「異物」と認識して攻撃する合併症です。このうち致命的なケースになることも知られている腸管急性GVHDに対してはステロイド剤を用いた治療が行われますが、▽効果は半数程度にしか認められない▽長期間にわたる強い免疫抑制によって感染症などの合併症が増える―という課題があります。

 ところで近年、腸内細菌叢(腸内フローラ)を移植する治療法(便細菌叢移植、FMT:fecal microbiota transplantation)が注目を集めています。

 東京都病院経営本部の駒込病院と、慶應義塾大学、理化学研究所、東京大学、岡山大学、国立がん研究センターは共同で、腸管急性GVHDに対してFMTを実施した場合の有効性や安全性について臨床研究(対象はステロイド治療に反応の悪い、あるいは減量が難しい患者4例)を実施しました。

 その結果、次のような点が確認されたため、駒込病院では「FMTが腸管急性GVDHの症状を改善させ、新たな治療法となる可能性がある」と強調しています。

【安全性について】

▽FMTに関連すると思われる合併症は軽度かつ一時的であった

【有効性について】

▽4例中3例で、GVHD症状が完全に消失した

▽4例中1例で下痢の量が最大5分の1まで減少した

▽4例中3例では、FMT実施後4週間で、ステロイドの量を平均69%減少できた

▽FMT実施後にGVHDが改善傾向にある次期には、細菌叢の組成も改善することが確認できた

▽免疫学的に炎症が落ち着く方向に変化していることが確認できた

 

 こうした成果をもとに駒込病院は、「症例数を増やして有効性を検証する」とともに、「どのような細菌叢がFMTの効果に影響しているか」を明らかにしていく考えです。

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