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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

抗がん剤のティーエスワン配合カプセルなど、腎細胞がんへの一部適応外使用を認める―支払基金・厚労省

2016.4.26.(火)

 胃癌、結腸・直腸癌などの治療に用いられる「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム」(販売名:ティーエスワン配合カプセル T20)について、サイトカインおよび分子標的薬治療が困難な場合に限り「腎細胞癌」に対する使用を審査上認める―。

 こうした審査情報を社会保険診療報酬支払基金が25日に発出しました(支払基金のサイトはこちら)。厚生労働省も地方厚生局などにこの情報を通知し、審査上のトラブルが生じないよう求めています(関連記事はこちら)。

医療現場の要望に応えるため、審査における「柔軟な取扱い」の事例を共有

 医薬品の保険診療における使用は、薬事食品衛生審議会で認められた傷病に限定されます。有効性・安全性が認められていない傷病への使用は、医療安全を脅かすとともに、限られた財源の適切な配分という面で問題があるためです。

 しかし医療現場の中では、医学的・薬学的知見に照らして「薬食審で認められていない疾病にも一定の効果があると強く推測定される」ケースが出てきます。

 この場合でも、改めて薬食審で効能追加などの手続きを踏むのが本筋ですが、杓子定規の対応が医療を歪め、患者に不利益をもたらすケースもあります。現場の医師からは「医学・薬学上、一定の有用性・安全性があれば、保険適用されていない疾病への使用(適応外使用)を例外的に認めてほしい」との要望が強く、1980年(昭和55年)に当時の厚生省保険局長が、この例外を認める通知(いわゆる55年通知)を出し、一定の柔軟な取り扱いが行われています。

 支払基金では、審査の透明性や公平・公正性を高めるため、審査上の一般的な取り扱いについて、医療関係者らに情報提供しています(支払基金の審査情報提供サイトはこちら)(関連記事はこちら)。

 その一環として25日に、次のような適応外使用を審査上認めることが公表されました。がん治療の現場では、選択肢が広がることになります。

▽「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム【内服薬】」(販売名:ティーエスワン配合カプセル T20・T25など、多数)の腎細胞がんへの使用(ただし、サイトカインおよび分子標的薬治療が困難な場合に限る)

 

 ちなみに、同製剤は、現在、▽胃がん▽結腸・直腸がん▽頭頸部がん▽非小細胞肺がん▽手術不能または再発乳がん▽膵がん▽胆道がん―に対する効能・効果が認められており、腎細胞がんにも「薬理作用が同様と推察される」ことから適応外使用が認められるものです。

 なお、同製剤の添付文書には、次のような「警告」などが詳細に記載されており、支払基金ではこれらに留意して使用する要請しています。

▽本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで本療法が適切と判断される症例についてのみ実施する

▽本剤は従来の経口フルオロウラシル系薬剤とは投与制限毒性(Dose Limiting Toxicity、DLT)が骨髄抑制という点で異なり、特に臨床検査値に十分注意する必要がある

▽劇症肝炎などの重篤な肝障害が起こることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、肝障害の早期発見に努める

▽他のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤(フルオロウラシルなど)、これらの薬剤との併用療法(ホリナート・テガフール・ウラシル療法等)、あるいは抗真菌剤フルシトシンとの併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので、併用を行わない

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