胃がんの罹患率、日本海側で多い傾向-国がん、部位別地域差を公表
2015.3.27.(金)
国立がん研究センター(国がん)は26日、全国で新たにがんと診断された患者数の推計値をまとめた報告書「全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ)2011年罹患数・率報告」を発表しました(報告書はこちら)。最新の2011年分では、各都道府県の主要部位の罹患率などを初めて地図上で示し、全国平均と比べて胃がんの罹患率は日本海側で多い傾向にあることなどが分かりました。
2011年に新たにがんと診断された患者は、男性49万6304人、女性35万5233人の計85万1537人。前年と比較し、女性は上位5部位の推計罹患数(乳房、大腸、胃、肺、子宮の順)に変化はありませんでしたが、男性は順位の変動があり、前年に4位だった前立腺が2位になり、胃、前立腺、肺、大腸、肝、の順になりました。
全国平均と比較した罹患率と死亡率の地域差を見ると、「全部位」では北海道、東北、山陰、九州北部で死亡率が高く、罹患率もほぼ同様の傾向が見られました。長野県と広島県は全国平均と比較して、罹患率より死亡率が低い傾向を示しました。
主要部位別では、胃がんの罹患率が高い県は男女共に日本海側に集中していました。大腸がんは北海道、東北、山陰で多い傾向。肝がんは近畿以西で極めて高く、山梨県でも多いことが分かりました。肺がんは男性だと北海道、青森県、近畿圏、女性は青森県を除いて同様の傾向を示しました。
一方、男性に特有の前立腺がん、女性に特有の乳がん、子宮がんの罹患率には地域での明確な偏りはありませんでした。
国がんは今回初めて公表した罹患率の地域差について、「地域差を観察することで予防、早期発見、治療を含む都道府県がん対策に役立てられる」としています。
推計に用いたのは、都道府県が地域のがん対策で活用する「地域がん登録」のデータ。一定のデータ精度基準を満たす39道府県が対象で、人口数の多い東京都、大阪府、埼玉県などは含まれておらず、国内人口のカバー率は66%。調査対象の人口構成の違いを除去した上で、地域差を分析しました。
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