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リハビリマネジメントの新旧加算、同時算定OK―15年度介護報酬改定Q&A

2015.4.3.(金)

 2015年度の介護報酬改定では、訪問・通所リハビリテーションの体系が大きく見直されました。具体的には、(1)リハビリテーションマネジメント加算を組み替え、「リハビリの管理」を強化・充実する(2)リハビリ機能の特性を生かした「短期集中個別リハビリテーション実施加算」「認知症短期集中リハビリテーション加算」「生活行為向上リハビリテーション実施加算」の創設―などが目立ちます。

 3月31日に厚生労働省が示した「介護報酬改定に関するQ&A」では、▽新たに導入された「リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)」の要件となる「利用者への説明」は、止むを得ない理由があれば電話などでの説明でもよい▽利用者ごとにリハビリテーションマネジメントの加算は従来の(I)と新導入の(Ⅱ)を一つの事業所が算定することが可能―といったことが明らかにされています。

 今回は、Q&Aの中から訪問・通所リハビリに関する事項を見てみましょう。

リハビリ計画への「同意」は利用者と対面して得る

 リハビリ体系見直しの柱の1つに「リハビリマネジメントの強化」があります。これは、漫然とリハビリを継続するのではなく、「患者の意向に沿った目標を立て、効果を測定しながら、リハビリプログラムを改善していく」ことを目指すものです。

通所・訪問リハビリマネジメント再構築の全体像

通所・訪問リハビリマネジメント再構築の全体像

 そのため、リハビリテーションマネジメント加算を組み替え、新たに次のような要件を満たす事業所にリハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)の算定を認めています。

(a)リハビリ会議を開催し、利用者の状況などに関する情報をメンバーの医師、理学療法士、ケアマネジャーなどと共有し、会議の内容を記録する

(b)リハビリ計画について(重要なタイミングで)医師が利用者・家族に説明し、同意を得る

(c)理学療法士などが訪問介護員らと利用者宅を同行訪問し、必要な指導・助言を行う

 このうち(a)のリハビリ会議については、今回のQ&Aで▽サービス担当者会議からの流れで、リハビリ会議と同様の構成で専門的な見地から利用者情報を共有した場合には、リハビリ会議を行ったこととしてよい▽リハビリ会議の欠席者には速やかに情報共有することが必要だが、サービス担当者会議のような「照会」は不要―などが明らかにされています。

 また(b)の「利用者への説明」については、「面接による直接の説明」が原則としながらも、遠方に住むなど止むを得ない場合には「電話などによる説明」も認められます。ただし、「利用者の同意」については、直接対面し、書面で行わなければなりません。

 (c)の利用者宅訪問は、「実際に利用者の生活の場を確認しなければ、実効性のあるリハビリは行えない」との考えに基づくものです。Q&Aでは訪問頻度について「利用者の状態などに応じて、リハビリ計画に基づき適時適切に実施する」よう求めています。

 なお、従来のリハビリテーションマネジメント加算は、要件・単位数据え置きで「加算(I)」となっています。Q&Aでは「同一の事業所が、利用者ごとに加算(I)と加算(Ⅱ)を算定することが可能である」ことを明確にしています。

生活行為リハ加算、医師が認めれば中断後の新規算定も可

 (2)の「生活行為向上リハビリテーション実施加算」などの創設は、「身体機能の維持・向上だけではなく、活動や社会参加をもリハビリの目的であることを、より明確にすべき」との考え方に基づいたものです。「活動」や「社会参加」に焦点を合わせたリハビリプログラムを立てやすくする工夫が凝らされています。

生活期の通所・訪問リハについて、利用者の状況に応じた柔軟な体系に組み換え

生活期の通所・訪問リハについて、利用者の状況に応じた柔軟な体系に組み換え

 注目される「生活行為向上リハビリテーション実施加算」は、生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識・経験を有する作業療法士や、生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士・言語聴覚士を配置することなどが要件で、リハビリ開始から3か月間は3000単位(1か月当たり)、4-6か月の間は1000単位(同)を算定できます。今回のQ&Aでは次のようなことが明らかにされました。

▽算定期間中に入院などでリハビリ提供の中断があった場合、「医師が生活行為の内容の充実を図るためのリハビリが必要」と認めることを条件に、再度利用を開始した日から起算して新たに6か月以内に限って算定を認める。事業所などは同一でなくてもよい。

▽生活行為向上リハビリテーション実施加算の算定後に通所リハビリを行った場合には、通所リハビリの費用が6か月間、15%減算されるが、この減算は同一事業所でリハビリを継続した場合に限る。

▽作業療法士に必要な生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識・経験には、「日本作業療法士協会の生活行為向上マネジメント研修で得られる知識・経験」などが該当する。

▽理学療法士が受ける生活行為の内容の充実を図るための研修には、全国老人保健協会、日本慢性期医療協会、日本リハビリテーション病院・施設協会が実施する「生活行為向上リハビリテーションに関する研修会」などが該当する。

社会参加支援加算は16年度から算定可能に

 また、活動・社会参加を目標としたリハビリ充実の一環として、15年度改定では「社会参加支援加算」(1日当たり12単位)が創設されました。

 これは、ADL・IADLを向上させ、社会参加を維持できる通所介護などのほかのサービスなどに移行する利用者の多い通所リハビリ事業所を評価するものです。

 社会参加支援加算は、「評価対象期間において、通所リハビリ終了者(生活行為向上リハビリテーション実施加算を算定した者を除く)のうち、通所介護などの社会参加に資する取り組みを実施した者が5%を超えている」などの実績要件が設けられており、例えば「通所リハビリと通所介護を併用する利用者が、通所リハビリを終了し、通所介護はそのまま継続となった利用者が、5%を超えている」場合などが考えられます。

 実績要件をさかのぼって満たすことはできないので、この加算を15年度に算定することはできません。ただし15年4月-12月に上記の要件などを満たすことで、16年度から算定することが可能になります。

 また、訪問リハビリ→通所リハビリ→通所介護と移行した場合、要件を満たしていれば最初の訪問リハビリ事業所もこの加算を算定することが可能です。

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