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精神病床のないI群病院など、機能評価係数IIで対応へ―DPC評価分科会が方針

2015.4.28.(火)

 大学病院本院で構成されるDPCのI群病院のうち、ほかのI群病院と比べて機能の低い病院や分院よりも機能の低い本院、精神病床のない病院について、機能評価係数IIで何らかの対応を行う方針が、27日に開かれた診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会で了承されました。

 II群病院でも、「精神病床のない病院」について機能評価係数IIでの対応を検討することとなっています。

 近く開かれる中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会に報告され、ここで了承されたら、DPC評価分科会で具体策の検討が始まります。

4月27日に開催された、「平成27年度 第1回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

4月27日に開催された、「平成27年度 第1回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

他病院と比べて「機能の低いI群病院」がターゲットに

 DPC評価分科会で了承されたのは、次のような項目です。5月中に中医協の承認を得た上で、具体策が練られます。

(1)にほかの大学病院と比較して機能の低いI群病院(ほかのI群病院に比べて機能が低い病院、分院よりも機能の低い本院、精神病床がない病院など)について、機能評価係数IIで対応する

(2)精神病床がないII群病院についても機能評価係数IIでの対応を検討する

(3)「適切なコーディングに関する委員会」の開催頻度(現在は年2回)を増やすことを、DPC病院の要件とし、DPC請求に関わるすべての医師・看護師などへ同委員会を通じてコーディングルールの周知を行うことを求める

(4)今後DPC算定病床に入院した患者について、様式1・Dファイル・レセプトなどにコーディングの根拠となったDPC14桁コードを記載することとし、包括対象外となった場合にはその理由の記載を求める

 (1)についてはI群病院のみが対象で、「機能の低い病院」をどう考えるかは今後、議論します。当初は「分院に機能を移し、機能の低くなった本院でI群の高い基礎係数を取得し、機能を高めた分院でII群の高い基礎係数を取得するのは不公平ではないか」との考え方が示されていましたが、その後のDPC分科会の議論では「分院はないものの、ほかのI群病院と比べて著しく機能の低い本院についても何らかの対応をすべき」だとの意見が相次ぎ、多面的な視点で「機能の低い病院」を選定することになりそうです。

 「機能評価係数IIでの対応」について、何らかの減算を行うのか、精神病床に着目した別の係数項目を設けるのかなどの具体的手法も今後、検討します。

 このテーマに関連し、美原盤委員(公益財団法人脳血管研究所附属美原記念病院長)は27日の会合で、「I群の見直し論議は『病院群内の不公平』に端を発しているが、病院群内の不公平はIII群で最も大きい。基礎係数と機能評価係数IIの重み付けの議論を検討すべきだ」とあらためて要望しました。

重症患者を積極的に受け入れる病院に、一定の対応求める声も

 この日の分科会では、「激変緩和措置」も検討テーマになりました。激変緩和措置は、調整係数から機能評価係数IIへの評価の切り替えが進む中で、DPC対象病院の収益が大幅に変動することを避けるためのもので、「改定前後の推計支払額がプラスマイナス2.0%を超える病院」では暫定調整係数(置き換え中の調整係数)の補てんか削減が行われます。

 激変緩和は16年度改定までの措置(18年度改定で消滅)ですが、対象病院の数は増加し続けていて(12年度は42病院、14年度は135病院、16年度も増加見込み)、今後、どのように対応すべきかが大きな課題となっています。

 分科会には、変動率がマイナス2%以上の病院(マイナス病院、医療機関別係数が補てんされている)では、プラス2%以上の病院(プラス病院、医療機関別係数が削減されている)に比べて「入院収益に占めるDPCの包括部分の割合が高い」「入院患者の1日当たり単価が高い」傾向にあるとの資料が提示されました。

 これを受け樫村暢一委員(医療法人渓仁会手稲渓仁会病院副院長)は「マイナス病院でDPCの算定病床が多く、入院単価が高いことは、複雑な病態の重症患者を積極的に受けていることを意味している。ここには一定の対応が必要だ」との考えを強調しました。

 伏見清秀委員(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境社会医歯学講座医療政策情報分野教授)は「入院単価については、出来高を見る必要がある」と指摘しました。

 DPC評価分科会では、16年度の次期改定に向けて機能評価係数IIの議論も詰めます。そこでは、上記の「基礎係数と機能評価係数IIの重みづけ」や「激変緩和措置」も関連してきます。特に激変緩和措置は機能評価係数IIへの財源配分などにも関連するため、早い段階での方針を確定する見込みです。

「治癒」と「予期せぬ再入院」、医療現場からヒアリング

 なお、この日の分科会では15年度の特別調査として、「治癒」や「予期せぬ再入院」に関するヒアリング調査を行うことも了承されました。これも中医協の承認を得る必要があり、夏ごろに調査が行われる見込みです。

 「DPCの導入で平均在院日数が短縮しているが、治癒が減少し、予期せぬ再入院が増えている。医療の質が低下しているのではないか」という中医協委員からの指摘を受けたもので、▽治癒の割合が著しく低いか高い、または変動が大きな病院▽予期せぬ再入院の割合が著しく低いか高い、または上昇している病院―を数病院選定し、ヒアリングを行います。

 「病院の機能分化、連携が推進される中では、治癒、つまり退院後に外来受診を一度もしない患者はごくごく限られる」ため、分科会では「治癒の減少、イコール医療の質の低下ではない」との意見で一致しており、ヒアリングには医療現場からこの点を確認する狙いがあります。

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