入院時の持参薬、DPC対象病院での使用実態を調査へ―16年度のルール見直しも視野
2015.6.18.(木)
厚生労働省は17日、患者が入院する際に持参した薬剤のDPC対象病院による使用実態を調査する方針を固めました。DPC対象病院の入院患者に使用する薬剤は「入院先の病院による入院中の処方」が原則とされていますが、特定の診療科のみを標榜する専門病院では、ほかの診療科の持参薬の使用が必要なケースがあるとも指摘されていて、同省では2016年度に予定している診療報酬改定でのルールの見直しも視野に入れています。
調査は全国に1580(4月現在)あるDPC対象病院すべてを対象に今年夏をめどに行う予定で、厚労省では各病院からの回答を「できるだけ早く」回収するとしています。
厚労省が17日、診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会の会合に提示した調査案によると、現在のルールの運用が始まった14年4月からの1年間に、持参薬を使用したことがあるかどうかや、使用実績があるならそれが病院の方針によるものなのかなどを質問します。このほか、入院時の持参薬を主に誰が確認しているのかや、使用を認めてほしい持参薬があれば、その薬剤のレセプト電算コードの記入も求めます。
DPC対象病院が入院患者に使用する薬剤は、14年度の診療報酬改定で、入院先の病院が入院中に処方することが原則であることが明確にされ、持参薬の使用は、特別な理由がない限りは認められません。DPC対象病院の1日当たりの診療報酬に薬剤費が包括されるのを避けようと、出来高算定が認められる外来であらかじめ薬剤を処方して、入院時に患者に持参させるケースを問題視する声があったための対応です。
ただ、中央社会保険医療協議会からは、例えばがんや循環器など特定の領域の診療に特化した専門病院では、ほかの診療科の持参薬を使用が必要なケースがあるという意見も上がっています。このため厚労省は、現在のルールの運用開始から1年後の使用実態を把握することにしました。今後は必要に応じて関係者からのヒアリングも行う方針で、調査内容の具体化を急ぎます。
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