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地域包括ケア病棟、手術を出来高評価とする方向へ―入院分科会

2015.6.19.(金)

 地域包括ケア病棟において、より多様な状態の患者の受け入れを促進するために「手術を包括評価の外に出す」ことなどが論点に掲げられました。今後、手術(診療報酬点数表のKコード)すべてを出来高評価とするのか、一部手術のみを出来高評価とするのかなどを、他病棟で行われている手術の内容なども見ながら議論していくことになります。

6月19日に開催された、「平成27年度 第3回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

6月19日に開催された、「平成27年度 第3回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

「多様な状態の患者」受け入れが、地域包括ケア病棟の課題

 19日に開かれた、診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」では(1)地域包括ケア病棟(2)総合入院体制加算(3)医療資源の乏しい地域の診療報酬―の3項目をテーマに議論が行われました。今回は(1)の地域包括ケア病棟を中心に見てみましょう。

 地域包括ケア病棟には、▽急性期後の患者の受け入れ▽在宅復帰支援▽急性増悪時の対応―という3つの機能が求められています。厚生労働省が行った調査結果を見ると、地域包括ケア病棟の入院患者の9割は「自院の急性期から、他院の急性期から、自宅から」入棟しており、また97%の病院が3機能を最重視していることが分かり、この3つの機能を相当程度果たしているようにも思えます。

 しかし厚労省は「患者の病態が外傷や骨折などに偏っている」点を問題視し、「より多様な状態の患者の受け入れを推進する必要がある」との考えを明らかにしています。

 この日の分科会には、地域包括ケア病棟で実施されている治療内容の実態も示され、次のような状況が明らかになっています。

▽入院患者は高齢者が多く、ピークは80-84歳

▽検査の実施が少ない

地域包括ケア病棟では、検査の実施が少ない(1)

地域包括ケア病棟では、検査の実施が少ない(1)

地域包括ケア病棟では、検査の実施が少ない(2)

地域包括ケア病棟では、検査の実施が少ない(2)

地域包括ケア病棟では、検査の実施が少ない(3)

地域包括ケア病棟では、検査の実施が少ない(3)

▽処置の実施は、一般病棟・療養病棟よりも少なく、回復期リハ病棟に近い

地域包括ケア病棟では、処置の実施も少なく、一般・療養よりも少なく、回復期リハに近い

地域包括ケア病棟では、処置の実施も少なく、一般・療養よりも少なく、回復期リハに近い

▽手術はほとんど行われていない

地域包括ケア病棟では、手術はほとんど行われていない

地域包括ケア病棟では、手術はほとんど行われていない

▽7割の患者に個別リハビリが行われているが、実施量は、少ない所から多い所まで幅広い

地域包括ケア病棟で行われているリハの状況を見ると、平均は施設基準より若干多い16.7単位(週当たり)だが、少ないところから多いところまで幅広く分布している

地域包括ケア病棟で行われているリハの状況を見ると、平均は施設基準より若干多い16.7単位(週当たり)だが、少ないところから多いところまで幅広く分布している

▽疾患別リハビリの大部分は、脳結果疾患等リハビリと運動器リハビリである

地域包括ケア病棟で実施されている疾患別リハは、脳血管疾患等リハ(廃用症候群も含めて)と運動器リハが大部分を占める

地域包括ケア病棟で実施されている疾患別リハは、脳血管疾患等リハ(廃用症候群も含めて)と運動器リハが大部分を占める

▽出来高算定できる摂食機能療養は、平均2回弱算定されている

▽9割程度の患者が経口での栄養摂取が可能(回復期リハ病棟の患者と同程度)

地域包括ケア病棟の入院患者の9割は、経口での栄養摂取が可能。これは一般病棟よりも高く、回復期リハに近い

地域包括ケア病棟の入院患者の9割は、経口での栄養摂取が可能。これは一般病棟よりも高く、回復期リハに近い

 手術や検査、処置などの実施が少ない背景には、これらが包括評価されている点があります。このため厚労省は「手術などを包括評価の外に出すことをどう考えるか」との論点を提示しています。

 分科会の委員も「多様な病状の患者受け入れを進めるべき」と考えており、特段の反対意見は出されませんでしたが、支払側代表である本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は「手術の出来高評価について議論するなら、具体的な疾患や患者の状態像を示してほしい」と要望しています。

 ただし、前述のように現時点で手術はほとんど行われていないため、「地域包括ケア病棟に入棟する前に実施された手術(それを地域包括ケア病棟で実施できるのか)」や「療養病棟などの他の病棟で行われている手術」などを見て議論していくことになりそうです。

 厚労省保険局医療課の担当者は「手術すべてを出来高とするのか、一部手術を出来高とするのかの具体案はまだない」と述べていますが、委員同士のやり取りからは「一部手術を出来高とする」方向で検討が進みそうです。もっとも手術を出来高にした場合、包括部分の点数を下げることになるでしょう。

 なお、リハビリや高額な処置などについて「出来高にすべき」「充実加算を設けるべき」との意見は出されず、手術以外の項目が出来高評価となる可能性は低そうです。本多委員は「濃密なリハビリが必要な患者は回復期リハ病棟に入棟すべきであろう」と述べ、地域包括ケア病棟と回復期リハ病棟の機能分化の必要性も指摘しています。

「退院が見通せる患者」を選別している可能性も

 ところで地域包括ケア病棟については、「退院が見通せる患者を選別しているのではないか」との指摘もあります。厚労省の調査では、地域包括ケア病棟の平均在院日数は23.9日(中央値)と比較的短く、在宅復帰率は86.3%(同)と高いのですが、前述の通り「入院患者の状態が外傷や骨折などに偏っている」ために、このような指摘が出てくるのです。

地域包括ケア病棟の平均在院日数は23.9日、在宅復帰率は86.3%(いずれも中央値)

地域包括ケア病棟の平均在院日数は23.9日、在宅復帰率は86.3%(いずれも中央値)

 また、厚労省の調査結果からも「地域包括ケア病棟の入棟患者の多くは、既に退院予定が決まっている」ことが分かっています。

地域包括ケア病棟の入院患者では、「退院予定が決まっている」人の割合が高い

地域包括ケア病棟の入院患者では、「退院予定が決まっている」人の割合が高い

 この点について池端幸彦委員(医療法人池慶應会理事長)は「外傷や骨折など、クリニカルパスが整っている傷病では退院時期が見通しやすい」と述べ、『選別』が行われている可能性を指摘します。

 また筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)も「選別の可能性がある」と指摘した上で、介護保険との連携の重要性を指摘しました。厚労省の調査によると、地域包括ケア病棟に入棟している患者の半数程度が要介護認定を受け、要支援1以上と判定されています。こうした患者の多くはケアマネジャー(介護支援専門員)が関与しているため、筒井委員は「ケアマネとの連携を診療報酬でも評価してはどうか」と提案しています。

地域包括ケア病棟に入院する患者では、6割近くが要支援1以上に判定されている

地域包括ケア病棟に入院する患者では、6割近くが要支援1以上に判定されている

地域包括ケア病棟の入院患者のうち4割程度は認知症を患っている

地域包括ケア病棟の入院患者のうち4割程度は認知症を患っている

 介護報酬では、ケアマネが病院職員などと面談し居宅サービス計画を作成して退院調整を支援した場合、「居宅介護支援費」の「退院・退所加算」として評価されます。診療報酬と介護報酬の連動という点で、重要な提案と言えるでしょう。

 「退院が見通せる患者」の選別は「多様な状態の患者を受け入れる」という地域包括ケア病棟の目的に反します。このため厚労省は、「退院支援の体制強化を図りつつ、より入念な退院支援を要する状態の患者受け入れを促す」ことも論点に掲げました。

 退院支援の具体例としては、「多職種カンファレンスの実施」や「専従・選任の退院支援職員の配置」などがあり、実際に早期退院の効果も上がっています。こうした取り組みを別途診療報酬(加算など)で評価するのか、あるいは施設基準などに組み込みのか、今後の議論が注目されます。

退院支援の専従・選任職員を配置すると、退院支援に大きな効果があがっている

退院支援の専従・選任職員を配置すると、退院支援に大きな効果があがっている

多職種カンファレンスを実施することで、退院支援に大きな効果が上がっている

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