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リハビリは全面的に包括評価へ転換すべき―日慢協の武久会長

2015.6.29.(月)

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、29日の記者会見で「リハビリの診療報酬上の評価は出来高から包括へ全面転換すべき」との見解を強調しました。ただし、2016年度の次期診療報酬改定に向けた要望には盛り込まないようです。

 また、会見では「2025年の必要病床数」について、ベッドが過剰で削減しなければならないことは受け入れるべきとし、ただし「不足する介護需要などに対応するために、病床削減で空いた分を『院内の介護施設』として活用すべきではないか」との考えも述べました。

6月29日の記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

6月29日の記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

夜間のトイレを想定したリハビリも必要

 武久会長は、厚生労働省が「入院医療等の調査・評価分科会」に提出した「地域包括ケア病棟では、施設基準にある『必要な患者に1日2単位以上のリハビリ提供』よりも多く提供している病院の方が多い」という資料に注目し、「包括評価となっても『やることはやる』病院が多いと考えられる。回復期リハ病棟でも、将来的にはリハビリを包括評価とすべきではないか」と述べました。

地域包括ケア病棟では、リハビリ料が包括されているが、1週当たり30単位以上の手厚いリハビリを実施しているケースもある

地域包括ケア病棟では、リハビリ料が包括されているが、1週当たり30単位以上の手厚いリハビリを実施しているケースもある

 その上で、武久会長が「昨秋から暖めていた構想」であるところの「リハビリ提供体制の抜本改革」案を、同日の日慢協理事会に提案し、了承されたことを報告しました。具体的には、次の5点の改革を提案するものです。

(1)出来高から包括への全面転換

(2)疾患別リハビリの廃止

(3)算定日数制限の撤廃

(4)「9時-5時(17時)リハビリ」から「24時間リハビリ」へ

(5)嚥下障害リハビリ、膀胱直腸障害リハビリの優先

 すべての項目が相互に関連しますが、武久会長は「点数にならなくても、目の前に患者がいれば、必要な医療は提供するのが医療人である」として、(2)の疾患別リハビリの1日当たり上限や(3)の算定日数上限などリハビリの不合理さを解消するためには「全面包括評価が必要」と強調しました。例えば脳卒中で入院した患者に対して、診療報酬上は最大で1日9単位のリハビリを、180日まで算定できますが、武久会長は「発症から1か月間は、1日30単位のリハビリを提供して機能回復支援を積極的に行っている病院もある」と述べます。

 また(4)は「脳血管疾患の患者が在宅復帰した後、夜間にトイレに行く際に転倒して大腿骨頸部骨折が生じるケースも少なくない。9時から17時の昼間のリハビリだけではなく、夜間を想定したリハビリが必要だ」と武久会長は説明しました。

 さらに(5)については「現在、歩行訓練に重点が置かれているが、人間らしさである摂食や排せつのリハビリを優先的に行うべきであろう」と強調しました。

 もっとも「次期改定ですべてのリハビリを包括評価にするとなれば影響が大きすぎる。私自身も回復期リハビリ病棟を経営しており、困ってしまう(笑)」と時折冗談も交えながら述べ、段階的な包括評価への移行が現実的であるとも付言しました。

ベッド数削減は当然、空きベッドを介護施設に活用すべき

 今月15日に、制度の社会保障制度改革推進本部「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」に2025年の必要病床数が報告され、そこでは「全体では現在より20万床程度少ない115-119万床程度が必要になる」ことが示されました。

 この試算結果について武久会長は「地方では人口が減少するのだから、高齢化を加味しても必要病床数が減るのは当然である」との見解を述べました。

 その上で、「必要病床数が減るということは、病院に空きベッドが出ることを意味するが、それを『院内の介護施設』として位置づけてはどうか」と提案しています。医療必要度の比較的高い、要介護者を一時的に受け入れる機能を持たせることで、▽患者の移動負担がなくなくる▽病院なので医師・看護師が常駐しており、急変時にも対応でき、看取りも適切に行える―というメリットが享受できるといいます。

 日慢協の池端幸彦副会長は、厚労省が7月に立ち上げる「療養病床の在り方」を考える検討会に委員として出席し、この考えを披露する方針です。

6月29日の記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

6月29日の記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

 また池端副会長は、この検討会で「医療法における療養病床の看護配置に関する経過措置」や、「介護療養病床の在り方」などを議論することになると見通し、その際には「16年度改定で認められるようになった、療養病棟におけるDPCデータを活用してはどうか」とも提案しました。

療養病床をタイプ分けし、在り方の議論をすべき

 なお、この日の会見では日慢協が独自に行った「医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査」の結果も発表されました。厚労省が5年前に行った調査結果と比べると「医療療養や介護療養では喀痰吸引や経管栄養などが必要な重症患者が増加しているが、老人保健施設や特別養護老人ホームでは軽症者が増加している」ことが分かったほか、次のような特徴が明らかになりました。

▽病院・介護施設全般で低栄養の患者が高い割合でおり、この対応が今後の重要課題と言える

▽肺炎の患者は一般病床で最も多く、次いで地域包括ケア病棟に多く入院している(サブアキュート機能を担っている)

▽廃用症候群の患者は療養病床や地域包括ケア病棟などに多く、回復期リハとは異なるタイプのリハビリが求められている

▽「重症度、医療・看護必要度」の中で、創傷処置や呼吸ケア、点滴ライン3本以上、心電図モニターの4項目の状況は、13対1・15対1と療養病床で似通っている

▽「重症度、医療・看護必要度」の基準(A項目2点以上、B項目3点以上)を満たす患者は20対1の医療療養でも10.7%いる

▽医療療養(20対1、25対1)では、医師による指示管理が相当程度必要な患者がほとんどである(「指示の見直しがない」ことと「指示管理が不要」とは別である)

 こうした状況を踏まえて武久会長は、医療療養・介護療養を(1)ターミナルケアを中心に行う所(2)医療行為を積極的に行う所(3)(1)と(2)の中間―の3つのタイプに分類できるとし、一律な検討は不適切との考えも述べています。

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