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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

骨太方針2015の進捗管理、諮問会議の下に「経済・財政一体改革推進委」を設置

2015.7.10.(金)

 今後、社会保障審議会の医療保険部会では、診療報酬改定基本方針のほかに「骨太方針2015に示された計画の具体化」や「国保改革」「短時間労働者への保険適用拡大」などを検討してく方針が示されました。また、骨太方針2015の重要指標(KPI)や進捗状況を管理するために、諮問会議の下に「経済・財政一体改革推進委員会」が近く設置されることが説明されています。

 今後、より具体的なスケジュールを厚生労働省が作成し、積極的な議論を進めていくこととなっています。

7月9日に開催された、「第87回 社会保障審議会 医療保険部会」

7月9日に開催された、「第87回 社会保障審議会 医療保険部会」

医療保険部会でも「骨太方針2015」の具体化など議論

 9日に開かれた社会保障審議会の医療保険部会では、今後の議論の進め方が厚労省から示されました。それによると、別にお伝えした「2016年度診療報酬改定の基本方針」のほか、次のような項目について議論することとなっています。

(1)骨太方針2015に示された「経済・財政再生計画」の具体化

(2)国保改革(国保基盤強化協議会などで議論を進め、医療保険部会に報告し、議論する)

(3)医療費適正化計画、後期高齢者支援金の加算・減算措置(別の専門調査会や検討会で議論を進め、医療保険部会に報告し、議論する)

(4)短時間労働者の適用拡大

(5)16年度診療報酬改定の基本方針

今後、医療保険部会で議論していく予定の項目

今後、医療保険部会で議論していく予定の項目

 このうち(2)の国保改革と(3)の医療費適正化計画などは、今通常国会で成立した医療保険改革関連法の施行を目指すものです(改正内容はこちら)。改正法には、ほかにも▽患者申出療養▽紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担―が盛り込まれていますが、これらの詳細は中央社会保険医療協議会で詰められます。

改正健保法の概要

改正健保法の概要

 こうした審議項目について委員からは「スケジュールを示してほしい」との要望が出ています。柴田雅人委員(国民健康保険中央会理事長)は「20年度から国保の財政責任が都道府県に移管されるが、システム改修などを行うための時間は非常に短い」と述べ、早急な仕様提示などを求めました。

 また白川修二委員(健康保険組合副会長)は、「これまでに健康保険任意継続制度の廃止を提唱し、その不合理さから、部会でも廃止を検討すべきとの意見が多くを占めた。しかし、改正健保法には盛り込まれず、今回の審議項目にも含まれていない」と指摘しました。これに対し、厚労省保険局の唐澤剛局長は「引き続く検討してく」方針を明確に示しています。

「医療等分野の番号」とマイナンバー、紐付けにも慎重意見

 この日の部会では、改正健保法(持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部改正する法律)の公布や、骨太方針2015(経済財政運営と改革の基本方針2015)などをテーマとした質疑も行われています。

 骨太方針2015では、今後3年間の社会保障関係費の伸びについて「高齢化に相当する1.5兆円」を目安とし、その達成に向けた改革を進めることが示されました。

 例えば、医療・介護提供体制の適正化を進めるために「地域医療構想の策定や、データ分析に基づく医療提供体制の格差の可視化などを通じて、病床の機能分化・連携を進める」ことや、「入院受療率の地域差縮小を行う」こと、「かかりつけ医の普及を目指した診療報酬の検討を行う」ことが提示されています。

 また、保険者が医療費適正化を進める「インセンティブ」を付与するために、保険者努力支援制度の趣旨を、現行の補助制度に前倒しで反映する方針も打ち出されています。

 ただし、こうした改革案の多くは抽象的な内容にとどまっており、改革案の具体化や進捗状況がどう管理されるのか気になります。厚労省保険局総務課の大島一博課長は「近く『経済・財政一体改革推進委員会』を経済財政諮問会議の下に設置され、改革に向けた重要指標(KPI)の設定などを行う」と見通しています。

 一方、日本経済を再生させ、さらなる成長を促すための「日本再興戦略」改訂2015には、「マイナンバー制度のインフラを活用した医療等分野における番号制度の導入」が打ち出されています。これは、17年7月以降の早期に、医療保険のオンライン資格確認システムを整備し、医療機関の窓口で「個人番号カード」を保険証として利用できるようにするものです。

 あわせて、「医療等分野における番号」の具体的制度設計について、今年末まででに結論を出す方針も明確にされています。

 この点について、松原謙二委員(日本医師会副会長)は「健康情報は最も機微性が高い個人情報の1つで、情報漏えいは取り返しがつかない。医療等分野の番号とマイナンバーを紐付けることは認められるにしても、両者は別個の番号としなければならない」と訴えています。

 高橋睦子委員(日本労働組合総連合会副事務局長)も「医療等分野の番号とマイナンバーとのリンクは、極めて慎重に検討する必要がある」と釘を刺しました。

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