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医療等ID、マイナンバーとは別に、利用目的ごとに複数付与すべき―日医の検討委

2015.7.17.(金)

 マイナンバーとは別の「医療等ID」を創設し、社会保障制度の適正運営や地域医療連携・介護連携に活用していくべきである―。このような提言を日本医師会の「医療分野等ID導入に関する検討委員会」が、このほどまとめました。

 委員会は「医療等IDは、マイナンバーと異なり唯一無二性、悉皆性を持たせず、利用目的別に個人に複数付与する」との考えを明確にしています。

リスク考慮し、マイナンバーとは別の医療等IDを

 検討委はまず、「社会保障制度の適正運営」や「有益なデータの分析」「地域医療連携や介護連携」などに医療情報を活用することの重要性を確認。

 しかし、病歴や服薬の履歴など機微性の高い医療情報に、「唯一無二性」と「悉皆性」を持つ「可視化」されたマイナンバーが振られ、データベースに格納されると、マイナンバー制度で用意される情報連携基盤を経由しない形での情報突合リスクが高まることから、マイナンバーとは別の、医療分野専用の番号・符号である「医療等ID」を創設すべきと提言しました。

 検討委の考える「医療等ID」の基本構想は次のような仕組みで、これをベースにさらなる精緻な制度設計を行う方針です。

(1)個人に対して利用目的別に複数の医療等IDを付与する

(2)本人による情報へのアクセスを可能とする

(3)情報の突合を可能とする

(4)医療等IDに関する法令を整備する

 (1)では、マイナンバーのような「唯一無二性」「悉皆性」を持たせない仕組みを提案しました。医療情報は多岐にわたり、その活用に当たってもさまざまな場面が想定でき、患者ごとに「活用を認める情報と、認めない情報」が異なることも考えられます。また検討委では、「ナショナルデータベースやがん登録など、制度上、公益目的のために患者の同意なしに収集される情報は、その範囲で唯一無二性・悉皆性を持たせる」「地域医療連携などの医療等IDは、悉皆性を持たせず、利用は患者の同意を原則とする」という考えも示しています。

 (3)は、「患者の同意」を原則として、(1)で目的別に付与した医療等ID間で情報の突合が可能な仕組みを構築するというものです。その際、突合情報の中に「患者の同意」なしに集めた情報がある場合には、あらためて患者の同意を取得すべきとしました。

保険証の券面に、資格確認用の医療等ID記載を

 医療等IDの発番に当たっては、実現可能性やコストを考慮して「マイナンバー制度」のシステムやインフラを最大限活用することを提案しました。

 また、医療等IDを格納する媒体としては、「保険証(健康保険被保険者証)」とマイナンバーに伴う「個人番号カード」が考えられます。

 これに関連して、政府の一部にある「個人番号カードに保険証機能を集約する」考えに対しては、▽券面の在り方▽医療機関のIT環境整備▽現場の混乱―という課題があることを指摘。その一方で、個人番号カードのICチップに格納される公的個人認証の電子署名を用いて「ネットワーク越しに保険資格の確認を行える仕組み」を構築することが可能とし、次のような考え方を示しました。

▽保険証の券面に、保険資格確認用の医療等IDを記載する(医療等IDを視認できない番号・符号とする場合には二次元バーコードを貼付)

▽保険資格確認用の医療等IDと、地域医療連携などの目的別の医療等IDを紐付けし、それらを医療機関や研究機関などで利用できるようにする

▽個人番号カードについて、券面に記載されているマイナンバーが医療機関で容易に視認できないことを前提として、医療機関でもオンライン保険資格確認に活用する(ただし、この確認を保険証確認と同じく扱うかどうかは要検討)

 また、今後検討すべき課題としては、「医療等IDを視認できる番号にするべきか」「医療機関の設備投資を誰が負担するのか」「国民への周知活動」などを挙げました。

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