16年度予算の全体像を了承、諮問会議―PBの赤字20年度に6.4兆円、社会保障費が焦点
2015.7.23.(木)
政府の経済財政諮問会議は22日、2016年度予算の全体像を固めました。同年度を財政健全化の初年度と位置付ける内容で、公的サービスの産業化など歳出改革に政府を挙げて取り組むとしています。ただ、内閣府の試算では、安倍政権による経済政策「アベノミクス」を進めたとしても、基礎的財政収支(PB)の20年度の黒字化目標を達成するのは困難な見通しで、社会保障費の取り扱いが焦点になります。
16年度予算の編成にあたっては、公的サービスの産業化や歳出の「見える化」などの改革に取り組む一方、医療の産業化など成長戦略に盛り込まれた施策を推進する姿勢を打ち出しました。概算要求基準では、聖域を設けずに施策や制の見直しを進める一方、成長戦略を実現するための経費は別枠で認めることにしています。
内閣府がこの日公表した中長期の経済財政に関する試算では、アベノミクスで掲げている大胆な金融政策などに取り組んだ場合、国と地方の基礎的財政収支(PB)の赤字幅は、20年度には対GDP比で1.0%になる見通しです。赤字幅は2月に行った前回の試算(対GDP比1.6%)から縮小する見通しですが、20年度までにPBを黒字化する目標の達成には、仮に経済が順調に成長してもなお6.2兆円の歳出を圧縮させる必要があり、今後は社会保障費の取り扱いが焦点になります。
甘利明・経済再生担当相は22日の諮問会議後の記者会見で、「(改革の)本丸である公的サービスや社会保障サービスの改善と横展開の仕組みがこれから出来上がる」と述べ、歳出削減のための一連の取り組みを促してPB黒字化の目標達成につなげる考えを示しました。
【関連記事】
「診療報酬本体のマイナス調整」など盛り込まず―諮問会議、骨太方針の素案
日病・堺会長、諮問会議を批判「暴言としか言いようがない」
診療報酬本体の「段階的なマイナス調整」を提案―16年度以降、諮問会議の民間議員