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病床機能報告、14年度結果を踏まえ今年度分から見直し―地域医療構想GL検討会

2015.7.29.(水)

 昨年度からスタートした病床機能報告制度について、初回(2014年度)の結果を踏まえ、今年度報告分から「未報告病院への対策強化」などの見直しが行われます。

 また、85ある特定機能病院のうち75病院が「全病棟を高度急性期」と報告している一方で、特定機能病院以外の400床以上病院が、高度急性期41%、急性期45%、回復期2%、慢性期11%と報告するなど、特定機能病院の報告内容が高度急性期に大きく偏っている状況なども踏まえて、報告する医療機関側が機能をより判断しやすくなるようマニュアルの見直しなども進められます。

 さらに、今年秋から報告された機能と医療内容などの分析・検討を進め、16年度以降の報告制度でもさらなる見直しが行われる見込みです。

7月29日に開催された、「第10回 地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」

7月29日に開催された、「第10回 地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」

「回復期は回復期リハだけ」という誤解もある

 29日に開かれた地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会では、昨年度を対象とした初回の病床機能報告結果が厚生労働省から示されました。

 そこから、現在の報告制度にはいくつかの改善点があることが分かりました。例えば、14年度末時点では未報告の医療機関が病院で1.4%、有床診療所で9.0%程度あり、残念ながら全数の把握が出来ていません。

2014年度(平成26年度)の未報告医療機関数1

2014年度(平成26年度)の未報告医療機関数1

2014年度(平成26年度)の未報告医療機関数2

2014年度(平成26年度)の未報告医療機関数2

 また、地域包括ケア病棟の中で「慢性期」と報告した病院にその理由を厚労省が聞いたところ、「回復期は、回復期リハビリテーション病棟だけと思っていた」との回答があることから、各機能の内容が十分に周知されていない状況も分かりました。

明確な誤りと考えられる報告の例

明確な誤りと考えられる報告の例

 さらに特定機能病院については、85病院中75病院が「全病棟が高度急性期」と報告しており、病床全体のうち約96%が高度急性期となりました。一方、特定機能病院以外の400床病院の報告内容を見ると、高度急性期41%、急性期45%、回復期2%、慢性期11%と報告しており、特定機能病院の報告内容がとても偏っていることも判明しています。

特定機能病院では、85病院中75病院が「全病棟」を高度急性期と届け出た

特定機能病院では、85病院中75病院が「全病棟」を高度急性期と届け出た

特定機能病院と、それ以外の400床以上の病院を比べると、特定機能病院の報告結果がいかに偏っているかが分かる

特定機能病院と、それ以外の400床以上の病院を比べると、特定機能病院の報告結果がいかに偏っているかが分かる

 こうした状況を踏まえ、厚生労働省医政局地域医療計画課の北波孝課長は、今年7月1日時点の機能などを報告する2回目の調査(15年度調査)では、次のような改善を行うことを提案しました。

(1)都道府県は、未報告の医療機関に対してまず報告を督促し、それでも報告されない場合には、医療法上の権限(未報告医療機関名の公表や、地域医療支援病院、特定機能病院の承認取り消しなど)を適切に実施する

(2)救命救急入院料・ICU・HCUを算定しながら「慢性期」の報告をするなど、明確に「選択間違い」をしている医療機関については、15年度は「間違い」として取り扱い、医療機関に修正を求める

(3)「回復期は回復期リハ病棟だけ」などの誤解もあるため、医療機関に医療機能の内容などを周知徹底していく

(4)特定機能病院であっても、個々の病棟については必ずしもすべて高度急性期と限らないため、病棟機能の選択にあたって、「個々の病棟の役割や入院患者の状態に照らして」医療機能を適切に選択してもらうような工夫を行う

(5)単純な入力ミスを減らすため、不整合事例(許可病床数よりも稼働病床数が多いなど)を医療機関に周知し、システム面での対応(エラー表示など)を行う

 このうち(2)は、医療機関に修正を「指示」するものではなく、ICUを届け出ながら慢性期と報告しているような病院に「間違っていないか」と問い合わせるイメージです。厚労省医政局医師確保等地域医療対策室の佐々木昌弘室長は、このような対応をとる理由について「医療法には、報告内容の過誤に関する規定がないため」と説明しています。

 ところで療養病棟であっても高度急性期と報告し、厚労省の問い合わせに対して「間違いない」と答えている医療機関もあります。この場合には、「間違いないか」との問い合わせには「間違っていない」と答え、修正する必要もありません。

新たに医師数の報告も求めるべきか

 この日、厚労省は「新たに医師数も報告する」ことを提案しました。地域の医療機関ごとに、医師配置はどのようになっており、それは適切なのかを明確にするためです。医師の地域偏在や診療科偏在が指摘されており、こうした問題を解決する基礎にもなります。

 しかし、委員からは慎重意見が相次ぎました。相澤孝夫委員(日本病院協会副会長)は「医療機能情報提供制度でも医師数を細かく報告している。二重の負担は避けるべき」と指摘。また中川俊男委員(日本医師会副会長)は「医師数を報告制度の中に盛り込むと、医師不足や地域偏在などさまざまなテーマに波及する。極めて慎重に検討すべき」と述べました。

 この点について厚労省医政局総務課の土生栄二課長は「2重の負担を避けるために、病床機能報告制度の中で医師数を報告することと合わせて、医療機能情報提供制度の報告内容を整理する」ことを提案しましたが、結論は出ませんでした。

 佐々木室長は会合終了後に、「報告をお願いすることは、いわば役務を課すことである。こうした場合、我々はできるだけ謙抑的にならなければいけない」と述べ、省内で再度調整を行うとしています。

 次回(8月27日開催予定)会合には、前述の改善点などを盛り込んだ通知案などをベースに、15年度報告内容の見直しに向けた最終的な議論を行います。

10月から「医療機能」と「医療提供内容」などの分析

 検討会では、10月以降、16年度の病床機能報告制度見直しに向けた議論を行います。

 厚労省は、初回の報告結果からは次のような課題が浮上したことも示しました。

▽同じ医療機能を選択している病棟でも、そこで行われている医療の内容などは必ずしも同じではない

▽同程度の医療内容と思われる医療機関でも、異なる医療機能を選択している

 具体例として地域包括ケア病棟が示されており、そこでは「急性期」「回復期」「慢性期」のいずれもが選択されています。この点について西澤寛俊構成員(全日本病院協会会長)らから「地域包括ケア病棟はpost acute、sub acute、在宅復帰の機能があり、医療機関側が自由に機能を選択できる。3つの機能にばらけるのは当然である」との指摘がなされている一方で、相澤委員から「概ね、選択した機能にふさわしい患者が入院していることが必要である」とし、まったく自由に機能を選択できると考えるのは好ましくないのではないかとの意見も出されています。

同じ地域包括ケア病棟でも、急性期、回復期、慢性期と届け出内容がかなり異なっている

同じ地域包括ケア病棟でも、急性期、回復期、慢性期と届け出内容がかなり異なっている

 厚労省は、報告された機能と、行われている医療内容、構造設備・人員配置などとの関係を詳細に分析し、適切な病床機能報告制度に向けて検討してほしいと要望しています。

 なお、16年度には診療報酬改定も控えており、現在、レセプトに病棟コードの記載欄を追加する方向で、関係部局間で調整が行われています。これが整えば、病棟ごとにどのような医療提供が行われているのかが明らかとなり、各病院が報告した機能と医療内容との分析を行うことが可能になります。17年度以降、こうしたデータ分析に基づいた、病床機能報告制度のさらなる見直しが進められることでしょう。

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