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総合入院体制加算、看護必要度A項目に着目した施設基準導入案が浮上―入院医療分科会

2015.7.30.(木)

 総合入院体制加算を届け出ている病院について、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(看護必要度)のA項目と医療内容の関係を見てみると、A項目2点以上の患者が30%以上入院している病院では、全身麻酔手術などの実績値も高い―。29日に開かれた診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」にこのようなデータが報告されました。

 総合入院体制加算に、看護必要度のA項目に着目した施設基準が導入される可能性が出てきました。

7月29日に開催された、「平成27年度 第6回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

7月29日に開催された、「平成27年度 第6回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

A項目該当患者の多い病院では、診療実績も高い

 総合入院体制加算は、「24時間の救急医療体制や総合的かつ専門的な医療の提供を行う医療機関」を評価するものですが、「人工心肺を用いた手術」や「化学療法」などの実績や、救急患者の受け入れ状況などに大きなばらつきがあることが分かりました。

 この点について、6月19日に開かれた入院医療分科会では、嶋森好子委員(慶應義塾大学元教授)らから「総合入院体制加算には重症の患者を受け入れることが期待されている。看護必要度のA項目2点以上を満たす重症患者の割合が低い病院は、加算の趣旨に合致していない可能性がある」といった意見が出されていました。厚生労働省は、これがこれを受けて分析したところ、「A項目2点以上の患者が30%以上入院している病院では、30%未満の病院に比べて、100床当たりの全身麻酔手術などの実績が高い傾向にある」ことが分かりました。

A項目2点以上の患者割合が30%以上の総合入院加算届け出病院では、概ね診療実績値も高い

A項目2点以上の患者割合が30%以上の総合入院加算届け出病院では、概ね診療実績値も高い

 さらに、A項目2点以上の患者が多く入院している病院では、総じて「病床当たりの年間手術件数」や「1日当たりレセプト単価」の中央値が高いことも明らかになりました。

A項目2点以上の患者割合の高い総合入院体制加算届け出病院では、年間手術件数やレセプト単価も高い

A項目2点以上の患者割合の高い総合入院体制加算届け出病院では、年間手術件数やレセプト単価も高い

 嶋森委員はこうした結果から「A項目が一定以上の患者を多く受け入れている病院では、診療実績が高いことが明確となった。総合入院体制加算の施設基準にA項目に着目した指標を導入するべきではないか」と提案しました。

 しかし、石川広巳委員(社会医療法人社団千葉県勤労者医療協会理事長)は「A項目が2点以上の患者が重症患者というわけではない。調査結果は客対数も限定的であり、慎重に考える必要がある」と難色を示しており、今後、親組織である中央社会保険医療協議会での判断を仰ぐことになります。

 また入院医療分科会では「総合入院体制加算を届け出ている病院には、今後増加が見込まれる認知症患者の積極的な受け入れも期待される」といった意見が出ています。総合入院体制加算の施設基準には「精神病床など有し、24時間精神疾患患者を受け入れる体制を確保していること」(加算1)などがあり、一般の病院では受け入れが困難な「身体合併症を持つ精神疾患患者」を積極的に受け入れる体制を整備しているためです。

 厚労省が、総合入院体制加算の届け出病院がどれだけ認知症患者を受け入れているのかを調べたところ、次のような状況が明らかになりました。

▽総合入院体制加算を届け出ていても、認知症の救急搬送患者をほとんど受け入れていない病院もある

総合入院体制加算を届け出ているが、認知症の救急搬送患者をほとんど受け入れていない病院もある

総合入院体制加算を届け出ているが、認知症の救急搬送患者をほとんど受け入れていない病院もある

▽総合入院体制加算を届け出ていても、精神疾患合併症患者の受け入れ実績が少ない病院があるが、加算1を届け出ている病院では精神疾患患者を多く受け入れている

 この点について石川委員や本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は「加算2の病院でも、認知症患者や精神疾患患者を積極的に受け入れるべきで、受け入れを促進する方策を考えなければいけない」と指摘しています。

加算1の基準緩和、診療・支払で見解分かれる

 ところで総合入院体制加算は、2014年度の前回診療報酬改定で「人工心肺を用いた手術が年間40件以上」などの実績要件をすべて満たしている加算1と、実績要件を満たすことまでは求められていない(満たすことが望ましい)加算2に区分されました。

総合入院体制加算の施設基準、2014年度の前回改定で診療実績を満たすなどより厳しい基準の加算1が新設された

総合入院体制加算の施設基準、2014年度の前回改定で診療実績を満たすなどより厳しい基準の加算1が新設された

 しかし加算1を届け出ている病院は、現在わずか4病院に過ぎません。この背景には「実績要件のうち年間化学療法4000件以上という要件を満たすことが難しい」ことがあります。

 化学療法の要件を緩和する方策の1つとして、現在の「レジメン単位」となっているカウント方法を見直すことも考えられますが、委員からは「そもそも化学療法の件数が要件として適切かどうかを考える必要がある」との指摘も出ています。

 厚労省の調査では、がん診療連携拠点病院では、総合入院体制加算を届け出ていなくても化学療法を年間4000件以上実施している病院が多くあることが分かっています。

総合入院体制加算を届け出ていないがん診療連携拠点病院の中には、化学療法年間4000件以上のところも少なくない

総合入院体制加算を届け出ていないがん診療連携拠点病院の中には、化学療法年間4000件以上のところも少なくない

化学療法実施件数について、総合入院体制加算届け出病院の中央値は、実績値(年間4000件)よりも小さかった

化学療法実施件数について、総合入院体制加算届け出病院の中央値は、実績値(年間4000件)よりも小さかった

 厚労省保険局医療課の担当者は、「現時点では、化学療法の件数を実績要件から除外すべきなのか、件数のカウント方法見直しを行うべきなのか判断するタイミングにはない」と述べており、さらなる分析・検討が行われる見込みです。

 この点について支払側の本多委員は「加算1は、地域の基幹が病院が目指すべき姿として設定されたものと理解している。届け出病院数が少ないからといって基準を緩めるのは好ましくないのではないか」との見解を示しましたが、診療側の石川委員は「届け出病院数が4件しかない状況は、基準があまりにも厳しいと言わざるを得ない」と反論しており、中医協での議論に注目が集まりそうです。

加算2にも一定の実績要件導入の可能性濃厚

 ところで加算2の病院では、実績要件を満たすことは求められていませんが、5%の病院では実績要件を1つ以下しか満たしていないことが厚労省の調査で分かっています。

 このため、16年度の次期改定に向けて加算2の施設基準にも何らかの実績要件が設定される可能性が強くなってきています。例えば「6つの実績要件のうち2つ以上を満たす」あるいは「実績件数を緩めた基準を設定する」といった方策が考えられます。

 この点について池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長・池端病院院長)は後者のような「加算1より緩めた基準」の必要性を指摘しました。

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