高度急性期15.5%、急性期47.1%、回復期8.8%、慢性期28.6%―病床機能報告の14年度末まとめ
2015.7.30.(木)
厚生労働省が29日に公表した「病床機能報告制度における機能別病床数の報告状況」の2014(平成26)年度末まとめによりますと、全国の医療機関から報告があった高度急性期の病床数は昨年7月1日現在、19万3538床で全体の15.5%を占めました。急性期は58万7484床(47.1%)、回復期は11万164床(8.8%)、慢性期は35万6176床(28.6%)となっています。
これまでに示された速報値から大きな変化はありません。
病床機能報告制度の速報値は、昨年末に第1報(12月19日時点)、今年2月に第2報(1月26時点)、3月に第3報(3月2日時点)が報告されており、29日に開かれた「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」に【14(平成26)年度末まとめ】が示されました。
現在(昨年7月1日、以下同)の医療機能について、各病院は次のように考えています。
▽高度急性期:19万3538床(全体の15.5%)
▽急性期:58万7484床(同47.1%)
▽回復期:11万164床(同8.8%)
▽慢性期:35万6176床(同28.6%)
療養病床から「高度急性期」との報告が331床あります。この点について本多伸行委員(健康保険組合連合会副会長)は「間違いではないか」と指摘。たしかに一部には「医療機能の選択を間違えた」とするところもあるようですが、厚生労働省医政局地域医療計画課の北波孝課長は「いくつかの病院に問い合わせたところ、高度急性期で間違いないと答えた医療機関もある」と述べ、「今後、選択した医療機能と提供している医療内容の分析を行う必要がある」との考えを示しました。
なお、日本慢性期医療協会の武久洋三会長は3月12日の記者会見で「SCU(脳卒中ケアユニット)を算定している会員の療養病床は高度急性期で報告した」ことを明らかにしています。
またDPC病院では、現在の病床について次のような機能を持っていると考えています。
【I群】(大学病院本院)
高度急性期94.4%、急性期5.0%、回復期0.2%、慢性期0.3%
【Ⅱ群】(大学病院本院並みの医療を提供する病院)
高度急性期75.9%、急性期22.6%、回復期0.6%、慢性期0.9%
【Ⅲ群】(その他の病院)
高度急性期19.7%、急性期70.6%、回復期4.7%、慢性期5.0%
さらに、すでにお伝えしたとおり特定機能病院では、現在の病床の機能を▽高度急性期95.6%▽急性期4.1%▽回復期0.1%▽慢性期0.1%―と考えていることも分かりました。
この点について加納繁照委員(日本医療法人協会会長)は「地域医療構想の中で特定機能病院や自治体病院どのような位置づけになるのかを考える必要があるのではないか」と指摘。中川俊男委員(日本医師会副会長)もこれに賛同しました。中央社会保険医療協議会でも「7対1の大病院についてケアミックスをどう考えていくか」が議題にのぼっており、今後、大きな論点となる可能性があります。
なお相澤孝夫委員(日本病院協会副会長)は「例えば『7対1は高度急性期』といったような、診療報酬点数から医療機能を考える病院が多く、混乱している。難病研究を継続している大学病院の病棟は、高度な医療を提供していても、それは急性期ではない」と述べ、厚労省のこうした点を明確にするよう要請しています。
一方、有床診療所では、現在の機能を▽高度急性期0.8%▽急性期62.9%▽回復期17.1%▽慢性期19.2%―と考えています。
この数字も、第3報とほとんど変わっていません。
一方、6年後(20年時点)に自院どのような医療機能を整備する意向かについては、次のように報告されています。
▽高度急性期:20万1990床(全体の16.1%)
▽急性期:55万9181床(同44.7%)
▽回復期:14万2131床(同11.4%)
▽慢性期:34万8112床(同27.8%)
現在から20年にかけて、「急性期」の3.6%、「慢性期」の3.8%が「回復期」へ転換する意向を示しています。
さらに、25年時点の医療機能ごとの病床数(任意報告)は次のようになりました。
▽高度急性期:11万5242床(全体の18.0%)
▽急性期:27万4309床(同42.7%)
▽回復期:7万7209床(同12.0%)
▽慢性期:17万5114床(同27.3%)
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