生活行為向上リハ実施加算に伴う「通所リハの減算」規定などを整理―介護報酬改定Q&A(Vol.4)
2015.8.3.(月)
生活行為向上リハビリテーション実施加算を取得後、同一の利用者に通所リハビリを提供して減算されている期間中にその利用者が入院し、退院後に再度、通所リハビリを提供する場合、必要な期間の減算が再開される―。厚生労働省は7月31日に発出した「介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)」でこうした点を明らかにしています。
2015年度の介護報酬改定では、リハビリテーションの報酬体系について次の2点を柱とする大幅な見直しが行われました。
(1)リハビリテーションマネジメント加算を組み替え、「リハビリの管理」を強化・充実する
(2)リハビリ機能の特性を生かした「短期集中個別リハビリテーション実施加算」「認知症短期集中リハビリテーション加算」「生活行為向上リハビリテーション実施加算」を創設する
このうち(2)の生活行為向上リハビリテーション実施加算は、生活行為の内容の充実を図るための目標と、その目標を踏まえたリハビリの実施内容などをリハビリ実施計画にあらかじめ定めて、利用者に対してリハビリを計画的に行い、通所リハビリ利用者の有する能力の向上を支援することを評価するもので、開始月から3か 月までは1か月当たり2000単位、3か月を超えて6か月までは1か月当たり1000単位を算定できます。
また、生活行為向上リハビリテーション実施加算の実施後に通所リハビリを継続した場合には、通所リハビリの報酬が、生活行為向上リハビリテーションの提供終了後の翌月から6か月間に限り(生活行為向上リハビリテーション実施加算の算定月数と同月分の期間)、1日につき15%減算するという規定も設けられました。生活行為向上リハビリテーション実施加算の目的が、まさに「生活行為の向上」にあり、通所リハビリを受けずに生活を継続していくことを目指したものだからです(漫然としたリハビリの継続からの脱却)。
この点について厚労省は、同じ利用者に対して「生活行為向上リハビリテーション実施加算の実施」→「通所リハビリの実施」(a)→「入院」→再度「通所リハビリ」の実施(b)というケースについて、「aとbの期間を合わせて必要な期間の減算が行われる」ことを明確にしました。
また(1)のリハビリの管理については、「リハビリテーションマネジメント加算」の整理が行われました。リハビリ計画書の充実や、計画の策定と活用などのプロセス管理の充実、介護支援専門員やほかのサービス事業所を交えた「リハビリテーション会議」の実施と情報共有の仕組みの充実を評価するものです。
ここで、「通所リハビリ事業所ごとに提供可能なサービスの種類が異なり、単一の事業所で必要な理学療法、作業療法、言語聴覚療法のすべてを提供できないため、複数の事業所が別々に通所リハビリを提供する場合、各々の事業所がリハビリテーションマネジメント加算を算定できるのだろうか」という疑問が生じます。
この点について厚労省は「脳血管疾患発症後で失語症のある利用者に対し、ある事業者がリハビリを提供することになったが、そこには言語聴覚士が配置されていなかった」という場合、別の事業所が失語に対するリハビリを提供するケースが考えられるとしました。
その上で、複数の事業所が算定要件を満たす場合には、それぞれリハビリテーションマネジメント加算を算定できることを明確にしています。
このほかに厚労省は、次のような点も明らかにしました。
▽訪問・通所リハビリ終了後に社会参加が3か月以上可能と思われたが、実際には利用者の体調が悪化して3か月の社会参加が不可能となった場合には、「社会参加支援加算」は算定できない
▽通所介護の延長加算は、その事業所の設備を利用して宿泊する場合には算定できないが、あらかじめ通所介護計画に位置付けられたサービスで、かつ通常のサービス提供時間帯のみでは提供できず、延長時間帯で提供することが不可欠な場合には、例外的に算定できる(例えば、食事提供に伴い、通所介護計画に定められた口腔機能向上サービスを通常の時間帯に終えられない場合など)
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