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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

乳がん検診、「マンモグラフィ」が原則、「視触診」は任意に―がん検診のあり方検討会

2015.8.4.(火)

 乳がん検診は、40歳以上の女性を対象に、2年に1度「マンモグラフィによる検診」を原則とし、「視触診」は必須としない―。このような提言を、がん検診のあり方に関する検討会が7月30日にまとめました。

 また胃がん検診は、50歳以上の人を対象に、「胃部エックス線検査」(毎年)または「胃内視鏡検査」(2年に1度)とすることを提言しています。

 厚生労働省は、提言内容をがん検診の指針に反映させ、来年度の検診から適用する考えです。

乳がんの超音波検査は引き続き検証

 がん対策において、効果的な治療法の開発と同時に、「予防」や「早期発見・早期治療」の重要性が指摘されています。がん対策推進協議会の会長も務めたがん研有明病院の門田守人名誉院長も「予後の良い早いステージでがんを発見すれば、現在の技術でも十分に対応でき。今後のがん対策では予防・早期発見に力を入れていくべきである」と強調しています(関連記事はこちら)。

 国もがんの早期発見を目指し、2008年には「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定め、科学的根拠に基づくがん検診の実施を推進しているほか、検診のクーポン券を対象者の配布し、検診の受診を呼びかけています。

 しかし、一部の自治体では国の定めた指針以外の検診項目を実施するなど、科学的根拠に基づくがん検診が必ずしも十分に行われてない実態があります。そこで厚生労働省は「がん検診のあり方に関する検討会」を14年9月に設置。検討会では、乳がんと胃がんについて、科学的根拠に基づいた検診項目の設定に向けた検討を行い、今般、中間報告書をまとめました。

 乳がん検診は、現在、40歳以上の女性を対象として、2年に1度「視触診」および「マンモグラフィ」(乳房エックス線検査)の併用によって行われています。

 このうち「視触診」については、▽必ずしも最適な検査法ではない▽手技に十分習熟していない医師もおり精度が低い▽欧米では視触診を併用していない国も多い―ことから、検討会では「必ずしも実施しなければいけないものではない」と結論付けました。

 また、超音波検査については、わが国の女性に多い高濃度乳腺において感度・がん発見率が高いことが示されていることから、今後、検診項目への導入の可能性も高いため、検査機器の仕様・検査方法・読影技術・診断基準の標準化・評価体制・実施体制などを引き続く検証していく必要があると提言しています。

 また対象年齢や検診感覚は、現状が妥当とされました。

乳がん検診に関する提言、「マンモ」を原則とし、「視触診」は任意に

乳がん検診に関する提言、「マンモ」を原則とし、「視触診」は任意に

胃がん検診、X線検査または内視鏡検査で実施

 一方、胃がん検診は、現在、40歳以上の人を対象、年1回の問診および胃部エックス線検査によって行われています。また、一部の自治体では▽胃内視鏡検査▽ヘリコバクター・ピロリ抗体検査▽ペプシノゲン検査―も実施されています。

 各検査方法について検討会では、次のような特徴があると指摘。

▽胃部エックス線検査には、バリウムによる腸閉塞などの偶発症があるが、胃がんによる死亡率減少効果を示す相応なエビデンスがある

▽胃内視鏡検査は、胃部エックス線検査に比べて感度が高く、胃がんによる死亡率減少効果を示す相応な証拠があるが、適切な体制整備の下で実施されるべきである

▽ヘリコバクター・ピロリ抗体検査とペプシノゲン検査には、胃がんによる死亡率減少効果を示すエビデンスが十分でなく、更なる検証が必要である

 これらを踏まえ検討会では「胃部エックス線検査もしくは胃内視鏡検査」を検診方法とするよう提言しています。

 また、対象年齢については、▽近年40-49再の胃がん罹患率・死亡率が減少している▽胃がんのリスク要因であるヘリコバクター・ピロリの感染率が、40歳代では減少している―ことを踏まえ、現在の「40歳以上」から「50歳以上」に引き上げるよう求めました。

胃がん検診に対する提言、「胃部エックス線検査」または「胃内視鏡検査」を50歳以上を対象に行うよう求めている

胃がん検診に対する提言、「胃部エックス線検査」または「胃内視鏡検査」を50歳以上を対象に行うよう求めている

年齢階級別の胃がん罹患率の年次推移

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年齢階級別の胃がんによる死亡率の年次推移

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