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GemMed塾 看護モニタリング

DPC退院患者調査の再入院、「計画的」か「計画外」かのみで判断へ―DPC評価分科会

2015.8.31.(月)

 DPCの様式1に記載する退院時転帰の「予期せぬ再入院」を廃止し、再入院は「計画的」か「計画外」かのみで判断していく―。こうした見直し方向が、31日に開かれた診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会で固まりました。

 「治癒」と「軽快」については見直しに向けた考え方がまとまらず、分科会で検討を継続することになっています。

8月31日に開催された、「平成27年度 第4回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

8月31日に開催された、「平成27年度 第4回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

一般病棟から退院して4週間以内の再入院が対象

 包括支払い制度では常に「粗診粗療」の懸念があるため、DPC制度では「適切な治療を受けて退院できたのか(不十分な治療で退院を余儀なくされていないか)」「治療が不十分なままに退院したために再入院が増加していないか」などを毎年度調査(退院患者調査)し、評価を行っています。

 13年度の「退院患者調査」結果からは、▽「治癒」による退院が減少している▽予期しない再入院が増加している-ことが分かり、中央社会保険医療協議会は「DPCで粗診粗療が生じている可能性がある」と指摘し、より詳細な調査を行うようDPC分科会に指示を行っていました。

 この点について分科会は、データを洗い直すとともに、医療現場からヒアリングを実施。その結果、「治癒」「軽快」や「再入院」の定義などに問題があることが浮上しました。例えば、「治癒」は「退院後、1度も外来治療に来ない。あるいはそれに準ずる状態」と定義され、医療現場の感覚にマッチしていないなどです。

 そこで厚労省は、31日の分科会に見直し案を提示しました。まず「再入院」から見てみましょう。

 現在、▽計画的再入院▽予期された再入院▽予期せぬ再入院―の3区分を、▽計画的再入院▽計画外の再入院―の2区分とすることが分科会で固まりました。現行では「予期したか否か」は患者・家族が判断するため、医師がきちんと再入院を説明しても、患者・家族が理解せず「予期せぬ再入院」となっているケースもあります。新定義では、こうした問題点も解消できそうです。もっとも、最終的な判断は中医協で行われる点には留意が必要です。

「再入院調査」の定義見直し案、患者・家族の視点ではなく、医師による「計画的」再入院か、「計画外」の再入院かで分類する。さらに記載対象が、一般病棟グループの退出から【4週間】以内の再入院に見直される

「再入院調査」の定義見直し案、患者・家族の視点ではなく、医師による「計画的」再入院か、「計画外」の再入院かで分類する。さらに記載対象が、一般病棟グループの退出から【4週間】以内の再入院に見直される

現行「再入院調査」における再入院の定義、退院から【6週間】以内の再入院について(1)計画的再入院(2)予期した再入院(3)予期せぬ再入院―に分類して記載する。予期したか否かは、患者・家族目線であり、ブレが大きいと批判される

現行「再入院調査」における再入院の定義、退院から【6週間】以内の再入院について(1)計画的再入院(2)予期した再入院(3)予期せぬ再入院―に分類して記載する。予期したか否かは、患者・家族目線であり、ブレが大きいと批判される

 計画外の再入院には、▽原疾患の悪化、再発▽原疾患の合併症発症▽前回入院時の入院時併発症の悪化▽新たな他疾患発症―などが含まれ、粗診粗療を監視するためには特に「原疾患の悪化、再発や合併症発症」に注目した分析が重要となります。

 また、現行では「DPC病棟」(a)→「回復期リハ病棟」(b)→退院→「DPC病棟への再入院」(c)という場合に、回復期リハ病棟を退院してから6週間以内の再入院が記載対象となっていますが、次のように見直されます。

▽一般病棟グループ(一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般)、専門病院入院基本料、救命救急入院料、特定集中治療室管理料などを算定する、いわゆるDPC対象病棟)からの退院より4週間以内の、一般病棟グループへの再入院を記載対象とする

 上記の例では、aからcまでの期間が4週間である場合には、当該再入院が「計画的」か「計画外」かを様式1に記載することになります。期間短縮は海外事例を参考に行われました。

 なお、例えば「切迫流産の危険があり入院したが、落ち着いたために退院し、その後、分娩のために再入院した」というような産科事例について、池田俊也委員(国際医療福祉大学薬学部薬学科教授)は「医療の質を上げて再入院を予防することはできず、海外でも粗診粗療のチェック対象となっていない」ことを紹介。DPCの退院患者調査でも同様となりますが、「産科症例は記載不要」とするか否かは決まっていません。

 また、コーディングテキストなどで「手術・処置の合併症による再入院の場合には、再入院時の契機病名として初回入院時の原疾患を記載し、入院時併存症に『手術・処置の合併症』などを記載する」ことなどを明示する方向が検討されます。

「治癒」と「軽快」をどう考えるのかで意見割れる

 「治癒」「軽快」については、次の3案が厚労省と委員から提示されましたが、結論は出ていません。

(A案)現行の「治癒」と「軽快」をまとめる

退院時転帰の見直しA案、現行の(1)治癒と(2)軽快をまとめて、「改善」などとする。名称については、委員から「治癒または軽快」「治癒・軽快」などの案も出ている

退院時転帰の見直しA案、現行の(1)治癒と(2)軽快をまとめて、「改善」などとする。名称については、委員から「治癒または軽快」「治癒・軽快」などの案も出ている

(B案)現行の「軽快」を、「概ね治癒」と「軽快」に分ける

退院時転帰の見直しB案、(2)の軽快を「概ね治癒」と「軽快」に分け、より医療現場の感覚に近いものとする考えに基づいている

退院時転帰の見直しB案、(2)の軽快を「概ね治癒」と「軽快」に分け、より医療現場の感覚に近いものとする考えに基づいている

(C案)現行の「治癒」に、B案の「概ね治癒」を含める(定義の変更)

 A案については、小林弘祐委員(北里大学学長)や美原盤委員(公益財団法人脳血管研究所附属美原記念病院長)らが、「治癒と軽快は合わせて考えるべきである。シンプルかつ明確で現場に混乱・負担が生じない」との支持を表明。

 B案に対しては、石川広巳委員(社会医療法人社団千葉県勤労者医療協会理事長)や瀬戸泰之委員(東京大学大学院医学系研究科消化管外科教授)らから、「医療現場の感覚にもっともマッチしている。例えば、初期のがん患者で化学療法すら不要な場合には『治癒』、進行がんで化学療法が必要な場合には『概ね治癒』という具合に細かな記載ができる」との評価がなされました。

 一方、緒方裕光委員(国立保健医療科学院研究情報支援研究センター長)は、「そもそも治癒の定義が問題点であったので、そこを見直せばよい」とC案を提示しています。

現在、退院患者の状況を(1)治癒(2)軽快(3)寛解(4)不変(5)増悪―の5つに分類して記載する。(1)の治癒の定義が医療現場の感覚にマッチしていないと批判がある

現在、退院患者の状況を(1)治癒(2)軽快(3)寛解(4)不変(5)増悪―の5つに分類して記載する。(1)の治癒の定義が医療現場の感覚にマッチしていないと批判がある

 しかしA案には「医療現場の感覚にマッチしない可能性がある」(瀬戸委員)、B案には「治癒と軽快でも混乱するのに、さらに『概ね治癒』を加えればますます混乱するのではないか」(福岡敏雄委員:公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院総合診療科主任部長)といった指摘やデメリット(C案では過去データとの突合ができない)などもあり、結論は次回以降に持ち越しとなりました。

 厚労省保険局医療課の担当者は、「再入院の見直しと、治癒・軽快の見直しは合わせて中医協に報告したい」との考えで、分科会で見直し案が固まった後、再度、中医協で議論することになります。

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