総合診療専門医の指導医研修を来年1月にも開始へ―全自病
2015.9.3.(木)
専門医制度が新たな枠組みに切り替わる2017年に向けて、全国自治体病院協議会(全自病)は、総合診療専門医の研修指導に当たる指導医の養成を来年1月にもスタートさせます。全国国民健康保険診療施設協議会(国診協)と合同で認定している「地域包括医療・ケア認定医」向けに指導医研修会を開き、この研修を修了した医師を指導医にする方向で最終調整しているということです。
全自病が2日に開いた定例記者会見で邉見公雄会長が明らかにしました。それによりますと、指導医研修は1泊2日での開催を予定していて、新たな枠組みの中で専門医を認定する日本専門医機構とプログラムを最終調整している段階だということです。
新しい専門医研修は17年に始まることになっていて、邉見会長は会見で、これに向けて指導医の養成にできるだけ早く着手する必要があると強調しました。その上で、指導医研修について、「座学ではなくワークショップ形式にする」と述べ、専門医の認定を受けるのに必要な知識、技能、医療への取り組み姿勢を身に付けられる内容にする考えを示しました。
全自病では、研修会場の確保や運営スタッフの養成など準備を進めることにしています。
専門医制度の見直しは、専門医の質を一層向上させたり、医師のキャリア形成を支援したりするのが狙いで、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」が13年4月、新しい枠組みを固めました。
専門医の認定は、これまで個別の学会が主導してきましたが、「分野によって専門医の資質にばらつきがある」との指摘があるため、中立的な第三者機関である日本専門医機構が統一的な基準に基づいて認定する形に切り替わります。認定にあたっては、それぞれの領域の知識や技能のほか、医療への取り組み姿勢が評価されます。また、従来は18だった基本領域は、地方の病院などで多様な医療サービスを提供する「総合診療科」を加えた19領域になります。
全自病が2日に開いた常務理事会では新たな専門医制度について意見交換したといい、邉見会長は会見で、「総合診療専門医ではわれわれの意見が通ったが、外科や内科の専門医制度では、地方の医師がかえって吸い上げられるのではないかという意見もたくさん出た」と明らかにしました。
地域医療に従事していたら十分なキャリアを積めないとプライマリーケアを敬遠する若手医師が出てきているため、邉見会長は、新たな制度について「方向としてはいいが、副作用というか、地域医療にはかなりマイナス面も出てくるのではないか」と懸念を表明しました。
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