16年度改定に向け、病棟群単位の入院基本料やDPC係数の見直しなどが必要―全自病が要望
2015.7.27.(月)
病棟群単位の入院基本料を認め、DPC機能評価係数IIの地域医療係数について評価方法を見直すべき―。2016年度の次期診療報酬改定に向けて、全国自治体病院協議会が22日、厚生労働省保険局医療課の宮嵜雅則課長にこのような要望を行いました。
要望内容は非常に多岐にわたるため、ポイントを絞って紹介しましょう。
まず、日本病院団体協議会の要望にも盛り込まれた「病棟群単位の入院基本料」が挙げられます。全自病では「地方では、1つの基幹病院が急性期から慢性期まで広く患者を受け入れている」点を強調し、病院の選択による入院基本料の設定を認めるよう求めています。
また前回14年度改定で新設された総合入院体制加算1の施設基準のうち「年間の化学療法4000件以上」のカウント方法について、現行のレジメン単位では「ほとんどの病院が算定できない」と訴え、「高度急性期医療を担う医療機関が算定可能な基準に緩和してほしい」と求めています。この点については、診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」でも検討事項にあがっており(関連記事はこちら)、今後の議論が注目されます。
同じく前回改定で新設された地域包括ケア病棟入院料(病棟単位)と地域包括ケア入院医療管理料(病室単位)について、両者の要件の差を是正するよう求めています。具体的には、▽同一病棟にある一般病床から地域包括ケア入院医療管理料算定病床に転床した場合には、救急・在宅等支援病床初期加算を算定できない▽DPC病棟から地域包括ケア入院医療管理料算定病床に転棟・転床した場合、入院期間IIIまではDPC点数を算定しなければならない―という2点をあげました。
また地域包括ケア病棟・入院医療管理料では「リハビリの必要な患者に平均で1日2単位以上のリハビリを実施する」ことが求められますが、セラピスト確保が困難なケースもあるとして、全自病は、一般病棟入院基本料の平均在院日数要件のように「3か月以内の1割以内の変動」を容認するよう求めています。
さらに、入院患者が他医療機関を受診した場合の入院基本料などの減額措置について、全自病は「精神科専門医療を実施している病棟の多数は単科の精神科病院で、ほかの医療機関で身体疾患の診察を受けることがしばしばある。この場合、ほかの事例と同じ様に減額することは合理的でない」と訴えています。
このほか出来高項目については次のような要望が目を引きます。
▽7対1入院基本料の看護配置について、「新人看護師臨床研修への参加時間」を病棟勤務時間に含める
▽看護配置だけでなく、薬剤師、管理栄養士、リハビリテーション職種などの多職種連携によるチーム医療を踏まえた一般病棟入院基本料とする
▽医師事務作業補助体制加算1を引き上げ、質の高い業務を担保する
▽救急医療管理加算1を引き上げる
▽帝王切開術の診療報酬点数を2万2160点に復元する(現在は2万140点)
▽医療機関における消費税負担は、診療報酬以外で対応する
DPCについては、機能評価係数IIのうち「地域医療係数・指数」の評価方法が、I群(大学病院本院)・II群(大学病院本院並みの医療を提供する病院)では上限が10ポイントなのに対し、III群(その他の病院)では上限が8ポイントとなっている点について「すべての群で上限を12ポイントとすべき」と求めました。
また、地域医療係数・指数が評価している5疾病・5事業の重要性に鑑みて、ほかの係数・指数よりもウエイト(配分)を大きくすべきとも要望しています。
一方、診断群分類については、▽0080肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎▽081誤嚥性肺炎―の精緻化などのほか、敗血症・DIC(播種性血管内凝固症候群)について、医療資源投入量の多さを考慮して「副傷病に存在するときには新たな分岐を設定する」ことを求めました。
また前回の14年度改定で見直された「再入院ルール」(7日以内に、DPCコードの上2桁が同一の場合には一連とみなす)について、すべての診断群分類で同様に考えるのは不合理であると指摘。特に、MDC16(外傷・骨折)の場合、別の部位で骨折などを7日以内にすることも考えられるとして、「異なる受傷日の外傷」を再入院ルールの例外とするよう求めています。
さらに、II群要件の1つとなっている診療密度について、現在は外科系の評価に偏っていると指摘し、内科系学会社会保険連合による「特定内科診療」(内科治療上極めて労力を要する28の重篤な急性疾患・病態)を評価対象に加えることも求めました。
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