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15年度介護報酬改定の効果検証、調査内容が概ね固まり、10月にも実施へ―介護給付費分科会

2015.9.18.(金)

 今年(2015年)4月の介護報酬改定では、看護小規模多機能型やリハビリなどの報酬が大きく見直されました。こうした見直しによって、看護小規模多機能で訪問看護の利用が増えたのでしょうか、またリハビリのマネジメントは充実してきているのでしょうか。

 厚生労働省は、このような介護報酬改定の効果や影響を見るために「15年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」(15年度調査)を実施します。18日に開かれた社会保障審議会の介護給付費分科会では、15年度調査の内容を概ね了承。厚労省は10月にも調査を開始する考えです。

9月18日に開催された、「第124回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

9月18日に開催された、「第124回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

来年3月には調査結果を分科会へ報告

 介護報酬改定の内容は多岐にわたるため、項目を絞って調査が行われます。15年度の調査では、改定の効果・影響が比較的早期に出ると考えられる次の15項目が対象となります。

(1)看護小規模多機能型居宅介護のサービス提供の在り方

(2)中山間地域などにおけるサービス提供の在り方

(3)リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方

(4)介護保険施設などにおける利用者などの医療ニーズへの対応の在り方

(5)居宅介護支援事業所および介護支援専門員の業務などの実態

(6)介護保険サービスにおける認知症高齢者へのサービス提供に関する実態

(7)介護保険サービスにおける質の評価に関する調査研究

 具体的な調査内容は14日に開かれた介護報酬改定検証・研究委員会(介護給付費分科会の下部組織)で詰められ、18日の分科会で最終的な調整が行われました。委員から出された意見を踏まえて田中滋分科会長(慶應義塾大学名誉教授)と厚労省で内容を確定し、10月にも調査が開始されます。その後、集計・分析を進め、来年の3月に調査結果が分科会などに報告されます。

看護小規模多機能、「優れた取り組み」行う事業所からヒアリング

 (1)の看護小規模多機能型は、訪問看護と小規模多機能型を組み合わせたもので、従前の「複合型サービス」のことです。

 医療ニーズのある中重度の要介護者が在宅での療養生活を継続できるよう、看護小規模多機能型については15年度改定で「訪問看護サービスが必要な利用者の割合が多い場合の加算(訪問看護体制強化加算)」を創設したり、利用促進を図るために区分支給限度基準額に含まれない報酬部分(総合マネジメント体制強化加算)を設けるなどの見直しが行われました。

 全事業所(218か所程度)の全利用者(4000名程度)を対象に、利用者の状況や加算の算定状況、経営状況などを調べます。さらに、その中から「優れた取り組み」を行っている事業所をピックアップして、ヒアリング調査も実施されます。

 また、看護小規模多機能型を支援する自治体(10か所程度を抽出)を対象としたヒアリング調査も行われます。

中山間地域と一般の地域とを比較、移動コストなど分析

 (2)の中山間地域では、利用者が散在していることから効率的なサービス提供が難しいと考えられ、経営維持のために加算が設けられています。

 14年度にも調査が行われていますが、15年度調査では、特に「移動コスト」について中山間地域など以外の事業所と比較分析することで、「中山間地域などに特有の課題」を明らかにします。

 さらに「アンケート調査」や「ヒアリング調査」によって、課題をどのように克服しているのかも調べます。

リハビリマネジメントの実施状況などを詳細に調査

 (3)のリハビリについては、「機能訓練」だけではなく、「活動」と「参加」にも焦点を合わせることが重要という視点に立った改定が行われ、新たに▽短期集中個別リハビリ実施加算▽認知症短期集中リハビリ加算▽生活行為向上リハビリ実施加算―という3つの加算設定が行われました。

リハビリ機能の特性を生かしたプログラムの充実

リハビリ機能の特性を生かしたプログラムの充実

 また、ともすると漫然と行われがちなリハビリについて、「利用者の希望」→「目標設定」→「リハビリプログラムの設定」→「リハビリの実施」→「評価」→「プログラムの見直し」というPDCAサイクルを回すために、多職種が連携して管理する「リハビリマネジメント」の充実を目指しています(リハビリマネジメント加算の再構築)。

通所・訪問リハビリマネジメント再構築の全体像

通所・訪問リハビリマネジメント再構築の全体像

 15年度調査では、▽通所リハビリ▽通所介護▽認知症対応型通所介護(認デイ)▽特定施設入居者生活介護▽介護老人福祉施設▽介護老人保健施設▽介護療養型医療施設▽短期入所生活介護―について、それぞれ500-1500事業所を無作為抽出し、リハビリスタッフの配置や提供しているリハビリの内容などを調べるとともに、利用者の満足度についても調査します。

介護保険3施設と医療療養、それぞれで看取りの実態は

 (4)では、介護保険施設などにおいて、入所者はどのような医療ニーズを持ち、どのような医療サービスを受けているのかを調べます。

 また、施設類型ごとに「看取り」「ターミナルケア」などの実態はどうなっているのかを調べ、施設間の差異や特徴を明らかにします。

 介護保険3施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)に加えて、医療保険の療養病床(医療療養)も調査客体に加えられました。

 2018年度改定は、診療報酬との同時改定となるため、早くも注目を集めているテーマです。

アセスメント、会議などでケアマネが果たしている役割は

 (5)はケアマネジャーの業務実態を明らかにすることが狙いです。

 ケアマネジャーは、利用者の状況を把握し適切なサービス提供計画(ケアプラン)を作成し、適宜見直すという重要な役割を担っていますが、▽アセスメント▽サービス担当者会議▽モニタリング―といった点で、さまざまな課題があるとも指摘されます。

 そこで15年度調査では、これらのプロセスにおける具体的な方法、頻度、実施上の課題などの実態を把握するとともに、医療連携の実態についても把握することになります。

 さらに30程度のケアマネ事業所をピックアップし、およそ120名のケアマネを対象に「タイムスタティ調査」が行われます。

認知症高齢者へどう対応しているのか、全介護サービスで調査

 (6)の認知症対応については、全介護サービス・全介護保険施設を対象に、具体的な取り組み状況を横断的に調査します。

 具体的には、すべての事業所を対象に、介護保険データベースを活用して「認知症高齢者が利用しているサービスの概況、認知症高齢者の心身機能の概況」などを調べます。

 さらに、各種サービス事業所・施設から1万か所程度を抽出して、認知症高齢者に対するサービス提供の実態(加算の取得状況、認知症高齢者に対する支援体制、研修・マニュアルなどの整備状況)、認知症高齢者の介護保険サービスの利用状況(認知症の診断状況、認知症のケアの内容、認知症ケアを行う上での課題)を調査します。

 全サービスを対象とした認知症高齢者の状況に関する横断調査は事実上初めての試みとなります。

介護の質を図る指標、通所介護も対象に妥当性を検証

 (7)の「介護の質」は、今後、極めて重要になってくるテーマです。これまで「ケアマネ事業所」「介護老人保健施設」を対象として、▽転倒▽発熱▽誤嚥▽脱水▽褥瘡▽認知機能▽移動―の状況を調べ、利用者の安全性は守られているかなどを調べてきました。

 15年度調査では、「通所介護」も対象に加えて、これら調査項目が「介護の質」を図る指標として適切かどうかなどを検証していきます。

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