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15年4-6月の医療事故は771件、うち9.1%で患者が死亡―医療機能評価機構

2015.9.25.(金)

 今年(2015年)4-6月に報告された医療事故は771件、ヒヤリ・ハット事例は7197件となり、医療事故のうち9.1%に当たる70件は患者が死亡に至っている―。このような調査・分析結果を日本医療機能評価機構が「医療事故情報収集等事業 第42回報告書」として24日に公表しました。

 また医療事故のうち10.1%に当たる78件は、死亡にこそ至っていませんが、患者に障害が残る可能性が高いものとなっています。

医療事故に起因する死亡例、10%弱と高い水準で推移

 15年4-6月に機構に報告された医療事故は771件で、15年1月からの累計では1703件となりました。

 医療事故の概要を見ると、最も多いのは「療養上の世話」で277件(全体の35.9%)、次いで「治療・処置」230件(同29.8%)、「ドレーン・チューブ」53件(同6.9%)、「薬剤」51件(同6.6%)などと続いています。「ドレーン・チューブ」に関する事故が「薬剤」関連の事故よりも多くなっている点が気になります。医療現場では十分な対策が求められます。

2015年4-6月に発生した医療事故の概要を見ると、「療養上の世話」「治療・処置」「ドレーン・チューブ」関連が多い

2015年4-6月に発生した医療事故の概要を見ると、「療養上の世話」「治療・処置」「ドレーン・チューブ」関連が多い

 次に事故の程度別に見ると、「死亡」が70件(同9.1%)、「障害残存の可能性が高い」が78件(同10.1%)、「障害残存の可能性が低い」が232件(同30.1%)、「障害残存の可能性なし」が204件(同26.5%)などとなっています。報告書は3か月単位の結果をまとめたもので、死亡事故の割合は、14年7-9月が5.0%であったのに対し、14年10-12月が8.6%、15年1-3月が9.1%、15年4-6月が9.1%と直近では比較的高い水準となっており、医療現場では早急な対策をとる必要があるでしょう。

2015年4-6月の医療事故のうち、死亡は9.1%にのぼる

2015年4-6月の医療事故のうち、死亡は9.1%にのぼる

 死亡事故が発生した場面を見ると、「その他の治療・処置の実施に関する内容」19件、「その他のドレーン・チューブ類の使用に関する内容」4県、「治療・処置の管理」2件などが目立ちます。

 また事故の発生要因(複数回答)に目を移すと、医療従事者・当事者の「確認の怠り」12.8%、「観察の怠り」10.9%、「判断の誤り」9.1%などが依然として多い状況です。一方で患者側に起因する事故が9.3%ある状況も変わっておらず、「医療従事者・当事者への注意喚起」「複数チェック体制の徹底」「患者への適切な説明と管理の徹底」といった総合的な対応をとることが重要と言えそうです。

医療事故の原因としては、当事者の「確認怠り」「観察怠り」「判断誤り」や、患者に起因するものが多い

医療事故の原因としては、当事者の「確認怠り」「観察怠り」「判断誤り」や、患者に起因するものが多い

 事故に関連した診療科は、整形外科が122件で全体の12.5%と群を抜いて高い状況も変わっていません。整形外科で生じた医療事故の概要では、「療養上の世話」に起因するものが68件と最多で、整形外科における事故の55.7%、医療事故全体の8.8%を占めています。ただし、例えば「転倒」が生じた場合には、他診療科から整形外科に移ることになり、少し割り引いて考える必要があるかもしれません。

ヒヤリ・ハット事例は3607件で、薬剤関連が4割

 ヒヤリ・ハット事例については、15年4-6月に7197件報告されました。うち3607件について患者への影響度を見ると、大部分(95.6%)が「軽微な処置・治療が必要、もしくは処置・治療が不要と考えられる」事例ですが、「濃厚な処置・治療が必要と考えられる」事例が3.6%、さらに「死亡・重篤な状況に至ったと考えられる」事例も0.8%あることから、十分な注意が必要です。

2015年4ー6月に報告されたヒヤリ・ハット事例のうち、もし実施されていたら死亡に至ったと考えられるものが0.8%ある

2015年4ー6月に報告されたヒヤリ・ハット事例のうち、もし実施されていたら死亡に至ったと考えられるものが0.8%ある

 またヒヤリ・ハット事例7197件の概要を見ると、「薬剤」が最も多く2846件(ヒヤリ・ハット事例全体の39.5%)、次いで「療養上の世話」1368件(同19.0%)、「ドレーン・チューブ」1178件(同16.4%)などとなっています。医療事故に比べて「薬剤」に関連する事例が多くなっており、一歩間違えると重大な健康被害を及ぼす可能性もあります。

ヒヤリ・ハット事例は、「薬剤」に関連するものが最も多い点が特徴

ヒヤリ・ハット事例は、「薬剤」に関連するものが最も多い点が特徴

 事故の発生要因(複数回答)としては、医療従事者・当事者の「確認の怠り」(24.1%)が飛び抜けて多く、次いで「観察の怠り」9.3%、「判断の誤り」8.3%などと続きます。

ヒヤリ・ハット事例の原因も、当事者の「確認怠り」「観察怠り」「判断誤り」や、患者に起因するものが多い

ヒヤリ・ハット事例の原因も、当事者の「確認怠り」「観察怠り」「判断誤り」や、患者に起因するものが多い

 どれほど注意深い人でも勘違いは起こり得ます。このため、例えば薬剤の名称や処方料などについて複数チェックを行うことなどが重要で、その際には1人が薬剤名や処方料を声に出し、もう1人がカルテでそれをチェックするといった取り組みを考える必要があります。

患者間違い防ぐため、患者に氏名を名乗ってもらうことも重要

 報告書では毎回テーマを絞り、医療事故の再発防止に向けた分析も行っています。今回は(1)インスリンに関連した事故(2)与薬時の患者または薬剤の間違いに関連した事故(3)パニック値(生命が危ぶまれるほど危険な状態であることを示唆する異常値)の緊急連絡に関連した事故―の3つを取り上げています。

 このうち(2)の患者・薬剤間違いについて見てみましょう。10年1月から15年6月までに42件の報告があり、その内訳は「薬剤の取り違え」が最も多く19件、「患者間違い」が13県、「薬剤の混入」が8件などとなっています。

 ある事例では、「ナースコール対応などに追われ、患者Aへの麻薬投与時間が20分過ぎてしまった。あわてて処方薬のダブルチェックを行ったが、担当看護師が患者Bを患者Aと思い込み、また『患者Aさんですね』とのフルネーム確認に、患者Bが『はい』と答えたため、間違いに気づかず投与してしまった。リーダー看護師は、ナースコールなどに追われ、病室へは付き添っていなかった」という状況です。ベッドサイドでのダブルチェックを行っていないことが、本事例の最大のポイントと機構では考えています。

患者に「Aさん、薬です」と看護師が伝え、患者Bが「はい」と答え、患者・薬剤の投与間違いが発生するケースが少なくない

患者に「Aさん、薬です」と看護師が伝え、患者Bが「はい」と答え、患者・薬剤の投与間違いが発生するケースが少なくない

 こうした事例を分析する中で、機構では「薬剤投与時における患者間違い、薬剤間違い」を防止するために次のような取り組みを行うことを提案しています。

▽配薬時は、患者に自分の名前を必ず名乗ってもらい、処方せんと内服薬を指さし呼称して照らし合わせる

患者自身にフルネームを名乗ってもらうことで、患者の取り違えが防止できる

患者自身にフルネームを名乗ってもらうことで、患者の取り違えが防止できる

▽名前を言えない患者にはリストバンドで確認する

患者がフルネームを名乗れない場合、リストバンドで患者の氏名を確認することが必要

患者がフルネームを名乗れない場合、リストバンドで患者の氏名を確認することが必要

▽麻薬はダブルチェック後、すぐに患者の所へ行き、患者名・時間・薬剤名・量を看護師も再度確認し、患者にも確認してもらった上で内服してもらう

▽患者への投与直前に、処方せんと薬剤及び患者の確認を必ず2名で行う

▽記憶に頼った仕事をしない

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