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高齢者のフレイル(虚弱)対策に向け、管理栄養士や看護師など専門職による相談・訪問指導を実施―医療保険部会

2015.10.5.(月)

 高齢者のフレイル(虚弱)対策に向けて、来年度(2016年度)から厚生労働省は▽栄養▽口腔▽服薬などの面から、高齢者の特性にあった効果的な保健事業として「専門職による支援」をモデル実施していく―。こうした点が、2日に開かれた社会保障審議会の医療保険部会に報告されました。

10月2日に開催された、「第89回 社会保障審議会 医療保険部会」

10月2日に開催された、「第89回 社会保障審議会 医療保険部会」

フレイル(虚弱)から要介護状態になる高齢者も多い

 高齢者、とくに75歳以上の後期高齢者では受診回数や入院日数が長く、医療費の高騰に大きな影響を及ぼしています。今後、高齢化がますます進展する中では、後期高齢者の健康を守るための疾病予防や介護予防がこれまで以上に重要になってきます。

 政府もこの点を重要視しており、塩崎厚生労働大臣は(1)高齢者のフレイル(虚弱)に対する総合対策(2)「見える化」などによる介護予防などの更なる促進(3)高齢者の肺炎予防の推進(4)認知症総合戦略(新オレンジプラン)の推進―などに取り組む考えを、経済財政諮問会議に報告しています。

 (1)のフレイル(虚弱)とは、あまり聞きなれない言葉かもしれません。厚生労働省は「加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能など)が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態」と定義。このフレイルを経て、要介護状態に陥る高齢者が多いため、総合的なフレイル対策が重要と考えられます。

フレイル(虚弱)から要介護状態になる高齢者が多く、フレイル対策が非常に重要である

フレイル(虚弱)から要介護状態になる高齢者が多く、フレイル対策が非常に重要である

 厚労省は来年度(16年度)予算に向け、フレイル対策の一環として「高齢者の低栄養防止・重症化予防」などを推進するために、10億7000万円を要求する考えです。

 具体的には、次の2つの取り組みを進めます。

▽低栄養、筋量低下などによる心身機能の低下を予防し、生活習慣病などの重症化を予防するために、高齢者の特性を踏まえた保健指導などを実施する

▽後期高齢者医療広域連合(75歳以上の後期高齢者の医療保険者)において、地域の実情に応じて▽地域包括支援センター▽保健センター▽訪問看護ステーション▽薬局―などを活用して、課題に応じた専門職(管理栄養士、歯科衛生士、薬剤師、保健師など)が、対応の必要性が高い後期高齢者に対して相談や訪問指導などを実施する

 後者では、▽低栄養、過体重に対する栄養相談・指導▽摂食などの口腔機能低下に関する相談・指導▽複数受診などにより服用する医薬品が多い場合における服薬相談・指導―などが行われます。

 この専門職による相談・訪問指導はモデル事業として実施されますが、厚労省は、その効果を検証した上で、18年度(平成30年度)から本格実施したい考えです。

厚労省は来年度(2016年度)予算で、高齢者に対して管理栄養士や看護師などの専門職が相談や訪問指導を行うモデル事業を進め、その効果を検証した上で、18年度から本格実施する考え

厚労省は来年度(2016年度)予算で、高齢者に対して管理栄養士や看護師などの専門職が相談や訪問指導を行うモデル事業を進め、その効果を検証した上で、18年度から本格実施する考え

 この点について武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、「急性期から療養病棟へ転棟してきた患者の中には、非常に栄養状態の低い患者がおり、その場合、褥瘡などの発生リスクが高くなる。急性期病棟では一般に臓器別の専門的治療が行われるが、高齢者の全身状態を把握し、栄養状態を管理するような視点も重要であろう」とコメントしています。

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