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GemMed塾 看護モニタリング

総務省、自治体病院の再編統合を一層推進へ―財政支援で後押し

2015.10.8.(木)

 総務省自治財政局準公営企業室の長谷川淳二室長は8日、北海道函館市内で開かれた全国自治体病院学会で講演し、自治体病院の経営改善や効率化につなげるため、ほかの医療機関などとの再編・統合を一層推進する考えを示しました。自治体病院に対する財政支援を再編・統合に重点化することで、こうした取り組みを後押しするということです。地域医療構想に沿った医療提供体制の見直しが各地で始まろうとする中、経営のさらなる改善や効率化につなげるのが狙いです。

2015.10.8医療・介護行政をウォッチ 総務省・長谷川室長 総務省が3月に公表した「新公立病院改革ガイドライン」では、自治体病院による改革のメニューとして、▽地方独立行政法人への移行など経営形態の見直し▽経営効率化▽ほかの医療機関などとの再編統合-などを挙げていて、これらに沿った各自治体の改革プランが16年度末には出そろう見込みです。

 長谷川室長は講演で、「(改革メニューの中でも)再編ネットワーク化を重点的に進めていただきたい」と述べた上で、こうした動きを後押しするため、再編統合に伴う施設整備費全体の40%を地方交付税として措置する方針を説明しました。総務省によりますと、これに対して、通常の施設整備への補助率は従来の30%から25%に引き下げるということです。再編統合に当たっては、例えば建物の新築と取り壊しに同時進行で対応しなければならないなど、資金面やマンパワーの面で通常よりも負担が大きくなることも出てくると考えられます。そこで通常の施設整備よりも、再編統合に伴うものに財政支援のウエートを高める必要があると判断しました。

 「新公立病院改革ガイドライン」は同省が07年末にまとめたものに続く第2弾です。第1弾のガイドラインでも、病床利用率や平均在院日数の改善目標を設定して経営改善を進めたり、病床利用率(一般・療養)が3年連続で70%を割り込んだ病院は再編統合や診療所への移行を視野に抜本的に見直したりするよう、自治体側に求めていました。

 不良債務の発行額が08年度の約651億円から13年度には約109億円にまで圧縮されたり、経常黒字の病院の割合が従来の約3割から5割程度に高まったりと、第1弾の改革の効果が見え始めているとの見方を長谷川室長は示しました。ただ、民間企業並みの会計基準を導入した影響で、14年度には病院事業の総収支の赤字幅が大幅に拡大しました。さらに、病床利用率が3年連続で70%未満の病院が、13年度には全体の4分の1程度に当たる219あるということです。

 長谷川室長は、国の財政の厳しさや今後の高齢化の進展を指摘し、「しっかりとした経営の土台がなければ、地域に必要な医療を提供することも、良質な医療を提供することも難しくなってくる」と述べ、自治体病院による経営改善の一層の努力を求めました。さらに、同じような医療を提供する病院が近くにあったり、病棟の建て替えを検討していたりする場合には、再編統合を前向きに検討するよう呼び掛けました。

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