「病床利用率70%ライン」を継続、自治体病院改革―総務省が新GL
2015.4.1.(水)
自治体病院の一層の経営改善につなげようと、総務省は3月31日付で、都道府県知事などに「新公立病院改革ガイドライン」を通知しました。2007年12月にまとめた改革ガイドラインに続く第2弾で、全国の自治体に新たな改革プランの策定を要請しています。病床利用率が3年間連続して70%を割り込んだら、病床削減や診療所への移行、ほかの医療機関との再編なども視野に抜本的な見直しをプランに盛り込むよう促しました。
こうした内容は第1弾の改革ガイドラインにも盛り込まれていましたが、同省によりますと、病床利用率が低水準な病院が依然として「相当数ある」といい、新ガイドラインでも継続しました。このほか、収支改善や経費削減、人材や収入確保などに関する数値目標の設定を求めるなど、従来の内容を踏襲しています。
一方で、効率的な病院運営を促すため、自治体病院への財政支援(地方交付税)の規模を許可病床数で判断する従来の仕組みを見直し、判断基準を「稼働病床数」に切り替える方向性も示しました。また、自治体病院の会計基準が14年度から新しくなったのを受けて、同じような機能をカバーしている民間病院と経営状況を比較して、自治体病院の地域での役割を見直すのに役立てるよう促します。
各自治体は新しい改革プランを15-16年度に策定します。新改革プランの対象期間は20年度までで、各自治体はおおむね年に1回は改革の進行状況を点検・評価し、数値目標の達成が著しく困難ならプランを見直します。
全国の自治体では、従来の改革プランに沿って病院の運営改善を13年度にかけて進め、黒字病院の割合は08年の29.7%から、5年後の13年度には46.4%に増えるなど「一定の成果を上げている」と総務省は受け止めています。
ただ、医師不足などから持続可能な経営を確立できていないケースも多く、各都道府県が「地域医療構想」の策定に15年度から着手するのに合わせて、一層の改革を求めることにしました。
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