医療・経営の質向上に向け情報共有、パス改善や入院支援センターなど―日赤学会開催
2015.10.16.(金)
日本赤十字社は15、16の両日、「第51回日本赤十字社医学会総会」(事務局:北見赤十字病院)を北海道北見市で開催しました。全国の日赤関係者ら1800人が参加。クリニカルパスの作成や改善、入院支援センターの設置など各病院の医療や経営の質向上に向けた取り組みなどを共有しました。
学会では、特別講演やシンポジウム、企画セッションなどのほか、要望演題38、一般演題(口演、ポスター)716、ランチョンセミナー11の計800程度の取り組みや情報が共有されました(関連記事『急性期病床の医療ニーズが半減? データ分析で乗り切る病院大再編時代―日赤学会でGHCが講演』)。
医療や経営の質向上の取り組みについても、数々の事例が紹介されています。事務部門がデータを積極活用し、医療と経営の質を高める取り組みとして日本経済新聞にも大きく取り上げられた旭川赤十字病院は、クリニカルパスの作成や改善、入院支援センターの設置などについて発表しました(関連記事『「医療の質」を決める「裏方」、事務職員からデータサイエンティストへ』)。
クリニカルパスの作成については、事務部門主導の事例を紹介。「病院ダッシュボード」などの分析ツールを活用し、抗生剤の投与や画像診断などを全国の病院とベンチマーク分析したデータを基に、医師らを説得。肝動脈塞栓術(TAE)のパス作成では、平均在院日数を1.4日短縮、1症例当たりの平均注射金額を2896円、平均画像診断金額を2万1735円、それぞれ削減する改善効果を得ました。
入院支援センターは2013年11月に設置。まず白内障手術から運用を開始し、院内の理解を広げながら、耳鼻科、外科、泌尿器科と短期滞在手術を中心に対象を徐々に拡大。15年6月からすべての予定入院患者が対象となり、安心と安全の確保、看護師の業務負担軽減などに大きく貢献しているとしました。