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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

「成果」を出すリハビリ、ポイントは「提供可能な患者に深く」-GHC分析

2015.11.13.(金)

 入院後の早い段階から高密度なリハビリテーションを受けた患者の身体機能の改善度合いは、それ以外の患者を上回ることが、GHCの分析であらためて裏付けられました。また、全国の118病院によるリハビリの1日当たり単位数を比較したところ、おおきなばらつきがあることが分かりました。理学療法士などリハビリスタッフの確保が追い付かず、人手不足に悩まされるケースもあるとみられ、今回の分析を担当したGHCのアソシエートマネジャーの八木保は、こうした場合にリハビリで成果を出すには、リハビリが必要な患者に集中的に実施するのがポイントだと話しています。

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 身体機能の改善度合いの分析は、リハビリを提供している89病院を14年4月-15年3月に退院した7693症例が対象です。

 まず、これらの症例をリハビリの手厚さによって分類するため、「1日当たり単位数」を横軸に、「リハビリの投入密度」(リハビリの実施日数/在院日数)を縦軸に取り、全症例をプロットしました。その結果、リハビリの1日当たり単位数は平均2.0単位、投入密度は56.6%でした。今回は、これらを同時に上回る1814症例をリハビリが手厚い「多介入群」、それら以外を「低介入群」と位置付けました=図表1=。
20151009 MW①
 その上で、両者の身体機能の改善度合いに差があるのかを明らかにするため、入院患者の身体機能を数値化した「バーセル指数」(BI)の入院時の値と、退院時の改善幅を比較しました。すると、入院時のBIは「多介入群」が平均18.8点、「低介入群」が平均18.4点と大きな差はありませんでしたが、BIの改善幅は「多介入群」が平均34.5点、「低介入群」は平均26.6点と明らかな差がありました=図表2=。
20151009_MW②
 身体機能の改善度合いは、年齢や栄養状態、認知症の有無などによって大きく左右されます。「多介入群」には、例えば栄養状態が比較的良いなど改善を見込める症例がもともと多かった可能性もありますが、分析を担当した八木は、「両群の患者背景の差を統計学的に排除した別の分析でも同様の結果となった。リハビリを提供できる症例には、できるだけ早い時期から高密度のリハビリを提供した方が成果を出しやすいことを示唆している」と話しています。

■1日当たり2単位未満が過半数

月刊「メディ・ウォッチ」(毎月10日発行)の15年11月号に掲載。

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分析を担当したコンサルタント 八木 保(やぎ・たもつ)

yanatori グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。理学療法士、中小企業診断士。
名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業。大手商社でのヘルスケア業界のマーケティング商品開発、中小企業のコンサルティングを経てGHCに入社。リハビリの質と生産性向上、コスト削減、財務分析、DPC分析などを得意とする。数多くの医療機関のコンサルティングを行うとともに、GHC社内のコスト削減プロジェクトや社外のCQI(Cancer Quality Initiative)研究会のサポートなどでも精力的に活動する(諏訪中央病院の事例紹介はこちら、津島市民病院の事例紹介はこちら)。
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