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【病床機能報告制度】医療再編どう進む? 「病床規制と同じ」と不信感も

2014.10.17.(金)

 医療機関が自分たちの立ち位置を都道府県に報告する「病床機能報告制度」の運用が10月にスタートし、地域ごとの医療提供体制の再編がこれを足掛かりに本格化し出す。地域の病院や診療所の病床は「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に再構築される見通しだが、これら4つの医療機能をカバーする病床を線引きするための基準が固まるのはこれからだ。医療再編はどう進むのか―。これまでの流れを整理した。

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 報告制度の創設は、超高齢社会の到来に伴う医療ニーズの変化や急増に対応できるよう、地域ごとの医療提供体制を再編するのが狙いだ。各医療機関からの報告を踏まえ、都道府県は15年度からは地域医療構想(地域医療ビジョン)の策定に着手する。

 ビジョンに盛り込むのは医療ニーズの将来推計や各医療機能の「必要量」(整備目標)など。都道府県はこれに沿って地域(「構想区域」)ごとの一般病床と療養病床を高度急性期、急性期、回復期、慢性期に再編させる。

 医療機関にとって大きな関心事の一つが、医療機能ごとの担い手をどう線引きし、数量をコントロールするかだ。

2014.10.6MR10月号 第2特集 図表 「医療計画の病床規制のときは、基本的に全国一律の考え方でこれ以上(病床)は作れないと言われ、駆け込み増床が起きた。やり方は一緒だろう」

 9月20日、福岡市内で開かれた全日本病院学会のシンポジウムではまさにこの点がテーマになり、シンポジストの星北斗・公益財団法人星総合病院理事長は、厚労省への不信感を隠さなかった。

詳しい基準まで「あと2年」


 報告制度では、医療機関側は「定性的な基準」を踏まえて医療機能の「現状」と「今後の方向」(6年後の意向)を病棟ごとに報告する。医療機能は医療機関側の自主的な選択が基本だが、6年後に過剰になると見込まれる医療機能への転換には、都道府県知事が中止を要請(公的医療機関には命令)できる。

 シンポジウムで司会を務めた神野正博・全日本病院協会副会長は、医療機関からの自主的な報告を積み上げてから必要な病床数に絞り込み、地域医療ビジョンが掲げる医療の将来像に近づけると、医療再編のイメージを整理した。

 ただ、現在の「定性的な基準」では、例えば急性期について「状態の早期安定に向けて医療を提供する機能」としているのみ。絞り込みの根拠となる詳しい基準はまだない。
2014.10.6MR10月号 第2特集 図表①
 厚労省の「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」が7月にまとめた「議論の整理案」によると、病棟単位の医療の情報が不足しているため「現段階では具体的な数値等を示すことは困難」で、「病棟単位での定量的な指標(基準)」の検討に、省内の研究班が年度内に着手するという。ただ、厚労省の担当者は、新たな基準が固まるまで「あと2年はかかるだろう」と話している。

 医療提供体制の再編をめぐる協議は、地域医療ビジョン策定ガイドラインの中身を話し合う「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」に引き継がれた。ガイドラインは、都道府県が地域医療ビジョンを策定する際の手引きで、国が年度内にまとめる。これに向けて検討会では、ビジョンに盛り込む将来の医療ニーズや医療機能ごとの病床数の整備目標の推計方法などを年明けに掛けて話し合う。

厚労省審議官「入院基本料は病棟ごとに」


 診療報酬の観点からは、医療提供体制の再編と評価体系をどうリンクさせるかが焦点だ。中でも、入院基本料の取り扱いは病院の経営状況を大きく左右しかねない。

 入院基本料は現在、入院患者の人数に応じて看護スタッフを病院全体にどれだけ配置しているかによって算定を届け出る仕組みだが、近い将来、病棟ごとに算定する形に切り替わる可能性が高いとGHCではみている。病棟単位の報告を原則とする報告制度とリンクさせた方が、医療機関を誘導しやすいためだ。

 実際、全日病学会のシンポジウムで厚労省の武田俊彦・大臣官房審議官(医療保険担当)は、病床機能報告制度の運用開始に関連して、「診療報酬も基本的には病棟単位で設定する形になる」との見方を示した。武田審議官は医療提供体制ではなく医療保険の担当で、コメントは「これまで(社会保障と税の)一体改革を担当し、今は医療・介護連携ということで(省内の)3局が共に動いている。そういう立場でお話しする」と断った上でのもの。

 仮にこうなると、診療報酬の点数が高い7対1入院基本料などの基準も病棟ごとにクリアしなければならなくなる可能性がある。例えば、入院患者の重症度(15%以上)の基準をたとえ病院全体でクリアしていたとしても、軽症患者が多い病棟ではほかの点数への切り替えを迫られかねない。

 何も手を打たずにこうした診療報酬体系が実現すると、全15病棟のうち5病棟で重症度の基準をクリアしていないある病院では、減収額が年1億6500万円に上る見通しだ。

DPCⅡ群病院の要件候補に「地域での機能」


 DPC制度についても医療提供体制の再編とリンクさせる方向だ。16年度の診療報酬改定に向けてDPC関連の対応を話し合う診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会が9月5日に固めた中間取りまとめ案では、大学病院本院に次ぐ診療機能を持つ「DPC病院Ⅱ群」の要件について、それぞれの病院の「地域における機能」を要件にするとしている。

 現在の仕組みでは、DPC対象病院がⅡ群に入るには、「高度な医療の実施」など4通りの「実績要件」をすべてクリアすることが条件。これに対して厚労省が描く将来像は、高度急性期の担い手と地域に認められた病院をⅡ群に位置付けるというイメージだ。

 同省の佐々木健・医療課企画官はGHCのインタビューに、「(現在の)実績要件をクリアできるようにと現場でさまざまな取り組みをされているとすれば、空振りになるかもしれない」と話しており、実績要件を踏まえて判断している現在の仕組みが、16年度改定で抜本的に見直される可能性もある。