特定保健指導に生活習慣病リスク軽減や肝機能改善などの効果があることを実証―健保連
2016.1.25.(月)
特定保健指導に参加した人のほうが、参加しなかった人に比べて、メタボリックシンドロームの該当者・予備群が減少し、腹囲や肥満の状況が改善し、さらにAST(肝機能)・ALT(肝機能)などの検査値も改善する―。このような調査分析結果を健康保険組合連合会が22日に公表しました。
健保連では、これまでにも「特定保健指導参加者のほうが、非参加者に比べて医療費が低い傾向がある」といった分析結果も公表しており、データヘルスに積極的に取り組んでいる状況が伺えます。
特定健診は、40-74歳の人を対象としたメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診で、主に▽服薬歴、喫煙歴の有無▽身長・体重・BMI(Body Mass Index)・腹囲▽血圧▽尿(尿糖・尿タンパク)▽血液(脂質・血糖・肝機能)―などを調べます。
特定健診によって生活習慣の改善が必要であると判断された場合には、特定保健指導(対象者の状態によって動機付け支援と積極的支援の2種類)が行われます。
健保連は特定保健指導の効果に着目し、2012年度に特定保健指導の対象となった11万9239名を、▽特定保健指導参加者(終了者)2万3088人▽非参加者(修了者を除く指導対象者)9万6151人―の2つに群分けし、2013年度の状況を調べています。
まず2013年度の保健指導レベルを見てみると、参加者のほうが、非参加者よりも「情報提供(服薬あり)」と「積極的支援」の割合が低いことが分かりました。特定保健指導は、対象者の生活習慣病リスクに応じて内容が変わります。よりリスクの高い人には「積極的支援」が行われます。つまり、2012年度に特定保健指導を受けた人のほうが、そうでない人に比べて、次年度の生活習慣病リスクが低下したことが分かります。
特に男性では、参加者のほうが非参加者よりも、積極的支援の割合が約10ポイントも低くなっています。
次に2013年度の「メタボ」状況を見てみると、参加者のほうが、非参加者よりも「メタボ該当者・予備群」の割合が少ないことが分かりました。
また、2013年度の「腹囲」については、参加者のほうが、非参加者よりも改善した人の割合が多くなっています。
さらに、2013年度の健診レベルを見ると、各種の項目で、参加者のほうが、非参加者よりも改善していることも分かりました。特に次の項目では改善度合いが大きくなっています。
▽AST(肝機能):男性参加者では1リットル当たり0.78単位改善し、非参加者の0.48単位改善よりも0.3単位高い。女性参加者では同じく0.46単位改善し、非参加者の0.08単位改善よりも0.38単位高い。
▽ALT(肝機能):男性参加者では1リットル当たり2.43単位改善し、非参加者の1.47単位改善よりも0.96単位高い。女性参加者では同じく0.77単位改善し、非参加者の0.42単位改善よりも0.35単位高い。
なお、例えばHDL(脂質)については参加者のほうが非参加者よりも高い検査値が出ていますが、改善効果は参加者のほうがが高くなっています。またHbA1c(血糖)については参加者・非参加者ともに目立った改善効果は出ていませんが、より長期的な調査分析結果を見る必要がありそうです。
【関連記事】
特定保健指導の未受診者は医療費1.5倍、医療費適正化に効果―健保連
2016年度の社会保障関係費、厚労省分は4126億円増の29兆8631億円に―2016年度厚労省予算案