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手厚い看取り介護を評価、特養などの報酬改定で厚労省が提案

2014.10.30.(木)

 社会保障審議会の介護給付費分科会が29日開かれ、厚生労働省は2015年度の介護報酬改定での特別養護老人ホーム(特養)と、有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅など特定施設入居者生活介護の論点を提示しました(資料はこちら)。特養では、「看取り介護加算の見直し」や「サテライト型特養の本体施設にかかわる要件の緩和」など9つの論点を挙げています=表=。

死亡4―30日前の看取り介護を評価

29日開催の介護給付費分科会では特養などの論点が提示されました

29日開催の介護給付費分科会では特養などの論点が提示されました

 厚労省の説明によると、看取り介護加算の見直しは、入所者が亡くなる4-30日前の手厚い看取り介護の実施に対して報酬を引き上げるというものです。現在は死亡日が1280単位、死亡前日―前々日が680単位、死亡4-30日前が80単位です。入所者の変化を毎日記録して多職種間で共有・連携し、必要に応じて家族などに説明することなどを要件にする方向です。

 厚労省は、施設内での看取り介護の体制を構築・強化する「PDCAサイクル」を導入することも、看取り介護の質向上につながるとしています。

 また、医療機関や介護施設が「概ね20分以内」での移動が可能な場所に設置する「サテライト型居住施設」の要件を緩和します。小規模な地域密着型特養(定員29人以下)を設置しやすいようにするためです。地域密着型特養は2014年度現在、全国に1246か所あり、5年前の3倍以上と整備が進んだことに加えて、厚労省は特養の経営者による地域社会に根差したサービスの推進が必要であると考えていることが背景にあります。

 病院や診療所、介護老人保健施設、広域型特養(定員30人以上)が設置するサテライト型居住施設は現在、人員・設備基準が緩和されています。例えば、広域型特養が本体施設となってサテライト型居住施設を展開する場合、本体施設と適切に連携していれば医師、栄養士、機能訓練指導員、ケアマネジャーを置かなくてもよいことになっていて、地域密着型特養についても、同様の要件緩和を検討します。

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「特養を潰さないで」内部留保問題も論点に

 同日の会合では、介護施設や保育所などを運営する社会福祉法人の「内部留保」をめぐっても意見を交わしました。

 厚労省は、特養の基本サービス費の「収支差」が高い水準で維持していることなどを踏まえて、基本サービス費の適正化を論点に挙げました(関連記事「介護サービス21種類のうち19が黒字維持―老健などは収支悪化、経営実調速報」「財政審、医療提供体制のスリム化提言へ、地域ニーズに「不合理な」格差」)。

 一方、全国の特養が加盟する全国老人福祉施設協議会(全国老施協)はこの日、15年度介護報酬改定は「少なくとも現状水準以上の評価が必要」とする意見書を提出しました。内部留保問題については、「介護報酬改定の議論に持ち出すことは不適切」としています。

「特養を潰さないでもらいたい」と訴える全国老人福祉施設協議会の村上勝彦副会長

「特養を潰さないでもらいたい」と訴える全国老人福祉施設協議会の村上勝彦副会長

 意見交換では、「非課税(の社会福祉法人)とそうではない医療法人が同じサービスを提供することはイコールフッティングではない」などと内部留保を問題視する意見や、「すべての社会福祉法人で多額の内部留保があるわけではない」と柔軟な対応を求める意見の双方が上がりました。

 全国老施協の村上勝彦副会長は、「会員の過半数が内部留保はないと言っている。特養を潰さないでもらいたい」と訴えました。

「外部からの訪問看護サービス」の拡大を要請、日看協

 一方、日本看護協会は特養での看護提供体制に対する意見書を提出しました。現在は、末期がんの場合にのみ「外部からの訪問看護サービス」(医療保険)の活用が認められていますが、特養がこのサービスを利用しやすくするため、対象疾患の拡大を求めています。

 意見書では、褥そうや認知症、糖尿病の入所者を外部の「認定看護師」や「専門看護師」が訪問し、特養の看護職員と共同でケア・指導を行った場合、特養を加算で評価する仕組みも提案しました。

 日看協は、これらの疾患に関する高度な知識を身に付けた看護師が外部からケアを指導したり、アドバイスしたりすることで、入所者の「安定的な療養継続」に寄与できるとしています。

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