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75歳以上の後期高齢者医療制度、2014年度は5374億円の黒字―厚労省

2016.2.16.(火)

 75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」は、2014年度には単年度で801億円の黒字、前年度からの繰越金などを加味すると5374億円の黒字となった―。このような状況が、厚生労働省がこのほど発表した2014年度の「後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況等について―速報―」から明らかになりました。(厚労省のサイトはこちら

後期高齢者医療広域連合の収支状況(速報ベース)

後期高齢者医療広域連合の収支状況(速報ベース)

高齢者医療は公費5割、若年者の支援4割、保険料1割という構成

 わが国では、国民だれもが何らかの医療保険制度に加入することになっています(国民皆保険制度)。大企業のサラリーマンは主に健康保険組合に、中小企業のサラリーマンは主に協会けんぽに、公務員は共済組合に、自営業者や無職者は市町村国民健康保険に加入します。

 しかし75歳以上の高齢者は、企業に勤めていても、年金生活であっても、都道府県単位の「後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)」に加入します。これは2008年の医療保険改革において「若人全体で高齢者の医療制度を支えていく必要がある」との考えの下に設立された仕組みです。

 後期高齢者医療制度には75歳以上の高齢者が加入しますが、高齢者は所得水準が低く、一方で医療費も高いことから、若人からの支援が不可欠です。そのため、▽公費が約5割(国が25%、都道府県と市町村が12.5%ずつ)▽若人が加入する医療保険(健康保険組合や市町村国保)からの支援金が約4割▽高齢者自身の保険料が約1割―という財政構造になっています。

 2014年度における後期高齢者医療全体の収入は13兆9553億円で、前年度に比べて3955億円・2.9%増加しました。一方、支出は13兆7927億円で、前年度に比べて3796億円・2.8%の増加となっています。

 このため2014年度単年度の収支差は1626億円。ここに国庫支出金の精算分を加味した「精算後単年度収支差引額」は801億円の黒字となりました。前年度には415億円の黒字だったので、財政状況が良くなっていることが分かります。

 ところで、医療保険制度を運営していく上では、突発的な事態に備える必要があります。たとえば、強毒性の新興感染症が蔓延し給付費(支出)が急増することや、天災により保険料(収入)が十分に収納できないケースなどが考えられます。そこで国は、医療保険者に対して「積立金」を保有することを求めており、後期高齢者医療制度も同様です。2014年度の積立金は1720億円で、前年度の571億円から大幅な積み増しとなっています。

 なお、この基金積立金や前年度からの繰越金などを加味した「収支差引合計額」を見ると、2014年度は5374億円の黒字となっています。前年度の黒字額は4274億円だったので、1101億円、黒字幅が拡大した格好です。

 後期高齢者医療制度を巡っては、医療保険者から「支援金負担が重過ぎる」との指摘があります。この黒字財政がすぐさま「支援金負担の軽減」につながることはありませんが、今後、高齢者医療制度の在り方を議論していく中で、重要な基礎資料の1つになることでしょう。

精算後単年度収支差が黒字の広域連合と赤字の広域連合の比較

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