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軽度者への介護サービス切り捨ては将来の介護リスクを高め、財政に悪影響を及ぼす―老施協

2016.2.16.(火)

 軽度者を介護保険給付から外せば、認知症利用者への対応を希薄化させ、家族介護を前提とした仕組みになってしまう。また軽度者への介護サービス切り捨ては重度化を招き、将来の介護リスクを高めるが、これは財政健全化の視点とそぐわない―。全国老人福祉施設協議会(老施協)は15日に、このような内容を含む意見書を塩崎恭久厚生労働大臣と自由民主党の稲田朋美政務調査会長に宛てて提出。

 今後、介護保険制度の見直しに向けた議論の中で、どのような影響を持つのか注目されます。

財政健全化だけに焦点を合わせた介護保険制度見直しに懸念

 安倍晋三内閣の骨太方針2015(経済財政運営と改革の基本方針2015)では、介護保険制度について「軽度者への生活援助サービスなどについて、給付の見直しや地域支援事業への移行を含めて検討する」旨を打ち出しています。しかし老施協は、財政の健全化だけに焦点を合わせた社会保障改革に強い懸念を示し、次のような意見を述べています。

▽生活支援の場で、専門職が利用者の細かな変化に気づくことで早期対応が図れる。生活支援部分を介護保険給付から除外すれば、早期対応の実現を阻む可能性がある。

▽軽度者が介護保険サービスを受けることによって、認知機能・身体機能、さらにBPSD(粗暴行動など認知症の周辺症状)が少ない状態を維持でき、重度化が抑制され、将来の介護リスクが軽減される。軽度者のサービス提供軽視は、将来の財政健全化の観点にそぐわない。

▽軽度者がデイサービスセンターなどに赴き、地域社会との設定を確保することは「引きこもり予防」「医療ニーズの有無の判断」につながる。これを地域支援事業に移行すれば、自治体によっては「小さな声」が行く場を失い、大きな課題として後代に付け回される可能性がある。

▽今以上に自己負担を求めれば低所得者がサービスを受けられなくなり、国民の社会不安をあおりかねない。

▽軽度者の介護サービスが地域支援事業に移行された場合、家族の介護力などを把握する物差し(現在は要介護認定がその物差しとなっている)がなくなってしまう。要介護認定の在り方を整理した後でなければ、軽度者へのサービスの地域支援事業への移行は是認できない。

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