精神病床の長期入院患者、食事負担は4月以降も据え置き、同日内の転院でも継続―厚労省
2016.2.23.(火)
何度かお伝えしているとおり、今年(2016年)4月から入院患者の食事負担が360円(1食当たり)に引き上げられます(関連記事はこちらとこちら)。しかし精神病床の長期入院患者については、現在の「1食当たり260円」に据え置くことを、厚生労働省は19日に発出した通知「精神病床に長期入院する患者の食事療養標準負担額に関する経過措置に係る事務の取扱いについて」で明確にしました。
この患者が退院し、即日、別の医療機関に入院した場合にも「1食当たり260円」が継続されるので注意が必要です。
改正健康保険法などでは、入院患者の食事負担(現在、1食当たり260円)について、▽2016年度から360円▽2018年度から460円―に段階的に引き上げることとしています。これは入院患者と在宅療養患者の間で負担の公平を図ることが狙いで、これまでの「食材費」に加えて、新たに「調理費」相当も負担することになります。
しかし、今年(2016年)3月31日時点で、すでに1年以上継続して精神病床に入院している患者については、当分の間「1食当たり260円に据え置く」という経過措置が設けられています。
この経過措置は、合併症などで別の医療機関に転院した場合や、さらに転々院した場合や再入院した場合にも(ただし、退院日と転院日、再入院日などが同日であることが必要)適用されます。
▽A病院の精神病床に1年以上入院している(1食当たり260円)
↓
▽合併症などで退院
↓
▽「同日内」に、B病院に転院(1食当たり260円が継続される)
↓
▽合併症の治療を終え退院
↓
▽「同日内」に別のC病院に転々院あるいはA病院に再入院(1食当たり260円が継続される)
こうした場合、A病院から「この患者は食費負担について経過措置が適用されている」ということが確実にB病院に伝達されることが必要です。
このため厚労省は、A病院とB病院の間で「当該転院患者が経過措置対象であり、転院元の医療機関を退院した日と同日内に、転院したこと」を確認できる管理表を作成するよう求め、次のような運用方法をとるよう提案しています。
(1)転院元の医療機関(A病院)において、退院する患者が「経過措置の対象者であること」「当該転院元の医療機関(A病院)を退院する日」「当該者に適用されている食事療養標準負担額」を明記の上、転院先の医療機関(B病院)に送付する
(2)転院先の医療機関(B病院)において、「当該者が経過措置の対象者であること」「食事療養標準負担額」を確認の上、当該転院先の医療機関(B病院)に入院する日を記載する
(3)転院先の医療機関(B病院)においては、経過措置が継続するためには、転院元の医療機関(A病院)の退院日と転院先の医療機関(B病院)の入院日が同日である必要があることに留意
(4)転院先の医療機関(B病院)から、同日内に、別の医療機関(C病院)に転々院する場合や、転院元の医療機関(A病院)へ再入院する場合についても、(1)と同様の要領で新たに管理表を作成する。この場合、転院先の医療機関(B病院)および、転々院先の医療機関(C病院またはA病院)においては、転々院前の各医療機関で作成された管理表(A病院からB病院へ転院した際の管理表)の写しを引き継ぐなどし、経過措置が継続している旨を確認できるようにしておくことが望ましい
なお厚労省は、具体的なケースについて追ってQ&Aを示す予定です。
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