4月から入院患者の食事負担が増額となるが、指定難病患者などでは据え置き―厚労省
2016.2.9.(火)
今年(2016年)4月から、一般の入院患者では食事負担が360円(1食当たり)に引き上げられますが、指定難病や小児慢性特定疾患で入院する患者については1食当たり260円に据え置かれます。これは、昨年(2015年)5月に成立した「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」(以下、改正法)こちらとこちら)の規定を受けたもので、厚生労働省は関連の告示を4日に公布するとともに、通知「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について」を発出しました。
難病対策基本法(難病の患者に対する医療等に関する法律)では、「入院時の標準的な食事療養および生活療養に係る負担は患者負担とする」旨が規定されています。
一方、改正法では入院患者の食事負担(1食当たり260円)を、▽2016年度から360円▽2018年度から460円―に段階的に引き上げることとしています。これは入院患者と在宅療養患者の間で負担の公平を図ることが狙いです。これまで入院患者は「食材費」のみを負担していましたが、新たに「調理費」相当も負担することになるのです。
この点、難病患者などでは患者・家族の医療費負担が長期にわたることなどを考慮し、2016年度以降も「1食当たり260円」に据え置くことになっており、具体的には下表のようになります。
また65歳以上で療養病棟に入院する患者については、介護保険との均衡を考慮して「入院時生活療養費」が支給され、重症度(医療区分)に応じて患者は「食材費・調理費」と「光熱費」を負担することになっています。これについても一般の入院患者では負担が増加しますが、指定難病患者の負担額は据え置かれます。
なお、改正法は、国民健康保険制度の安定を図るための見直し(都道府県を財政運営主体とする)や患者申出療養の創設、紹介状なしに大病院の外来を受診した患者の特別負担の創設などを柱としています。
今年4月からは、前述の食事負担のほか「海外療養費(海外で診療を受けた人に対する医療費の一部を手当てする)の支給申請にあたり、申請者に海外に渡航した事実などの添付を求める」「傷病手当金(けがや病気で仕事に行けない際に、賃金の一部を手当てする)の不適切受給(直前に給与の高い事業所に転職したこととするなど)を防止するための仕組みを導入する」などの見直しも行われます。
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