抗がん剤のリツキサン、腎移植・肝移植の十分な経験持つ医師のもとでの投与を―厚労省
2016.3.1.(火)
CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫などの治療薬であるリツキサン注10mg/mL【一般名:リツキシマブ(遺伝子組換え)】について、「腎移植、肝移植のABO血液型不適合移植における抗体関連型拒絶反応の抑制」の効能・効果が追加されたことを受け、厚生労働省は2月29日に、使用上の留意事項を一部改正する通知を発出しました。
リツキサン注10mg/mLは、これまで「CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫」と「インジウム イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液およびイットリウム イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前投与」について効能・効果が認められていました。
この点、ドラッグラグを解消するために厚労省に設置されている「医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での議論を経て、「腎移植、肝移植のABO血液型不適合移植における抗体関連型拒絶反応の抑制」についても効能・効果の追加が2月29日に認められました。
これを受け厚労省は同日に、リツキサン注10mg/mLの保険適用上の取り扱いを一部修正しています。
これまで、本製剤の投与は、(1)緊急時に十分措置できる医療施設において行うこと(2)造血器腫瘍、事故免疫疾患およびネフローゼ症候群の治療群の治療に対して十分な経験を持つ医師のもとで行うこと(3)本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと―という制限が設けられていました。
このうち(2)について、効能・効果の追加を受け、「造血器腫瘍、事故免疫疾患およびネフローゼ症候群の治療群の治療、『ならびに腎移植あるいは肝移植』に対して十分な経験を持つ医師のもとで行うこと」と修正されました(二重鍵かっこ部分が追加されている)。
抗がん剤としてリツキサン注10mg/10mLを採用している医療機関においては、十分な注意が必要です。
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