制度開始から半年で医療事故188件、4分の1で院内調査完了―日本医療安全調査機構
2016.4.11.(月)
医療事故調査制度がスタートした昨年(2015年)10月から今年(2016年)3月末までに報告された医療事故は188件、そのうち院内調査の結果が出ている事例が50件となっている―。
こうした状況を、日本医療安全調査機構が8日に発表しました。
医療に起因する死亡事故のうち「管理者が予期しなかった」ものを報告
医療事故調査制度は、「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」すべてを医療事故調査・支援センター(日本医療安全調査機構)に報告し、当該医療機関やセンターで再発防止策を探る仕組みです。
昨年(2015年)10月からスタートしており、次のような形で運用されています(関連記事はこちら)。
(1)事故が発生した医療機関が、医療事故調査・支援センターに事故発生を報告し、遺族にも報告する
(2)医療機関が院内調査を行い、調査結果をセンターに報告するとともに、その内容を遺族に説明する
(3)遺族や医療機関が院内調査結果に納得できない場合には、センターに調査を依頼できる
(4)センターは調査結果を遺族と医療機関に報告するとともに、事故事例を集積・分析して再発防止に向けた普及啓発に努める
外科・内科がともに29件で最多、整形外科・産婦人科と続く
日本医療安全調査機構は、制度の施行状況を毎月公表しており、今般、施行から半年後(2016年3月末まで)の状況が明らかになりました。
それによると、報告件数は半年間で188件となり、病院からの報告が169件、診療所からの報告が19件となっています。
診療科別に見ると、外科と内科がともに29件で、最も多くなっています。次いで▽整形外科20件▽産婦人科15件▽精神科13件▽循環器内科13件▽消化器科11件―などという状況です。
また医療機関から日本医療安全機構への相談は、半年間で1012件となりました。内訳を見ると、▽報告の手続きに関するもの298件▽医療事故の判断に関するもの267件▽院内調査に関するもの273件―などが多くなっています(複数回答)。
報告対象となる医療事故かどうかは、前述のように「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」か否かで判断します。
また「管理者が予期しなかったもの」とは、次の3ケースのいずれにも該当しないケースを指します(関連記事はこちら)。
▽事前に医療従事者などが、患者などに対して死亡・死産が予期されていることを説明していた
▽事前に医療従事者などにより、死亡・死産が予期されていることを診療録その他の文書等に記録していた
▽事情の聴取などを行った上で、事前に医療従事者などにより、死亡・死産が予期されていると認めた
医療事故が発生した医療機関では、まず院内での調査を実施します。施行後半年間で院内調査が完了しているのは50件で、報告された事故188件の26.6%に該当します。
また、医療機関あるいは遺族からセンターへの調査依頼があったのは、施行後半年間で2件(全体の1.1%)となりました。
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