医療従事者の勤務環境改善に向け、都道府県が支援センターなどを設置―厚労省
2016.5.10.(火)
都道府県において2016年度の「医療従事者の勤務環境改善に向けた年次活動計画」を策定し、計画の中には医療勤務環境改善支援センターの設置状況や2015年度の活動実績も盛り込んでほしい―。
厚生労働省は先ごろ、このような内容の事務連絡「医療従事者の勤務環境の改善に関する年次活動計画について(依頼)」を行いました。
都道府県が医療機関の取り組みを「専門家の助力」も得て支援
2014年6月に成立した医療介護総合確保推進法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)では、「医療機関の勤務環境改善」に関する事項が含まれています(2014年10月1日施行)。
具体的には、厚生労働省が「医療機関の管理者が講ずべき措置の『指針』」を策定し、都道府県が「医療機関の勤務環境改善を促進するための支援(相談、情報提供、助言、調査、啓発活動など)を行うとともに、「医療勤務環境改善支援センター」機能を確保することなどが必要です。
そこで厚労省は、2016年度における医療機関の支援を行うための計画(医療従事者の勤務環境の改善に関する年次活動計画)を策定するよう依頼しているものです。
計画には、次の3点を盛り込むことが必要です。
(1)医療勤務環境改善支援センターの設置状況など
(2)2015年度の活動実績
(3)2016年度の取り組み予定
(1)の医療勤務環境改善支援センターは医療機関からの相談に応じたり、必要に応じて助言を行うなどして、勤務環境改善を支援する組織です。都道府県が主体的に関与し、都道府県の医師会・看護協会・病院団体・社会保険労務士会・医業経営コンサルタント協会、労働局などの参画を得ることが必要ですが、非営利法人に委託することも可能です。
また具体的な支援を行うために、次のような専門スタッフを配置することが求められます。
▽医業経営アドバイザー:診療報酬面、医療制度・医事法制面、組織マネジメント・経営管理など医業経営に関する専門知識を有するアドバイザー(この経費には「地域医療介護総合確保基金」を活用することが可能)
▽医療労務管理アドバイザー:社会保険労務士など(勤務シフトの見直し、労働時間管理、休暇取得促進、就業規則の作成・変更、賃金制度の設計、安全衛生管理といった労務管理面全般の知識を有するアドバイザー)
さらに、アドバイザーでの対応が困難なケースに備えて、▽女性医師バンク・女性医師支援相談窓口の相談員▽地域医療支援センター▽雇用均等指導員▽メンタルヘルスなどに関する相談員-との連携を図ることも必要です。
厚労省は、この医療勤務環境改善支援センターを「可能な限り2014年度中に設置」するよう求めていますが、実際には一部自治体で未設置になっています。このため2016年度計画では、センターの▽設置状況(未設置の場合には設置の予定)▽業務体制▽運営協議会の構成―などを盛り込むことが必要です。
各医療機関が「独自の勤務環境改善システム」を導入することを都道府県が支援
(2)の2015年度活動実績としては、▽目標の達成状況と、未達成の場合にはその理由▽医療従事者の勤務環境改善に関する事業と予算▽運営協議会の開催状況、協議事項―のほか、「医療勤務環境改善マネジメントシステム」に関する状況も報告することが必要です。
医療勤務環境改善マネジメントシステムとは、各医療機関等において、「医師、看護職、薬剤師、事務職員などの幅広い医療スタッフの協力の下、一連の過程を定めて継続的に行う自主的な勤務環境改善活動を促進することにより、快適な職場環境を形成し、医療スタッフの健康増進と安全確保を図るとともに、医療の質を高め、患者の安全と健康の確保に資すること」を目的として、各医療機関等のそれぞれの実態に合った形で、自主的に行われる任意の仕組みとされています(「医療分野の「雇用の質」向上のための勤務環境改善マネジメントシステム導入の手引き」2014.6より)。
2016年度計画では、2015年度における医療勤務環境改善マネジメントシステムの▽周知・啓発▽医療機関の実態やニーズの把握▽システムの導入・定着支援―といった都道府県の取り組みと合わせて、実際にシステムを導入している医療機関の状況も報告することが求められます。
このうち周知・啓発に向けた取り組みとしては、▽ホームページの開設▽説明会・セミナーなどの開催▽パンフレットなどの配布▽医療機関への訪問▽医療関係団体への協力依頼▽各種会議などでの説明―などが例示されています。
2016年度の取り組み予定としては、▽目標(数値を定めることが重要)▽事業と予算額▽運営協議会の開催予定、協議予定事項▽マネジメントシステムの導入に関する事項―などを具体的に書き込む必要があります。
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