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外来診療 経営改善のポイント 能登半島地震 災害でも医療は止めない!けいじゅヘルスケアシステム

人を動かす資料に絶対必要なたった一つのこと―入門講座2016~17(2)

2017.1.24.(火)

 院内のキーマンを動かすには、どのような資料を作成すればいいのか――。

 このような悩みを抱える病院関係者に向けて、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は20日、次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」の「入門講座2016~17」を開催しました。GHCは29日、病院経営の現場スタッフ向けの入門講座を東京都内で開催しました。

 経営改善はまず、現状の分析からスタートし、次に必要なのは、分析に基づいた改善提案とそれをまとめた資料作りです。今回の入門講座では、医師を動かす改善プランの立て方と、院内を変革させる資料作成のポイントについて学びました。

GHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当で診療情報管理士の薄根詩葉利

GHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当で診療情報管理士の薄根詩葉利

「改善すべき(可能)こと」と「改善不可能なこと」

 病院ダッシュボードは、誰でも瞬時に、視覚的に分かりやすく改善のポイントを把握することができます。自病院の重要な経営指標となるデータを、他病院のデータとベンチマーク分析した上で、改善すべき課題を直感的にデータで把握できるようにデザインされているためです。

 GHCは、こうした病院ダッシュボードを新規導入した病院の担当者などに向けて、「基本の『き』」を伝授することを目的に、全3回の「入門講座」を定期的に開催しています。今回はその第2回目という位置付けになります。

 第二回目のテーマは資料の作成方法。講師をしたGHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当で診療情報管理士の薄根詩葉利は、「医療の質を落とさずに経営を改善すること」が最大の目的であり大前提であるとした上で、「改善すべき(可能)こと」と「改善不可能なこと」に分けて取り組むことが重要だとし、そのためのポイントをスライドで示しました(図表)。

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 例えば、DPC環境下でマイナスのインパクトを受ける要因は、(1)在院日数が長すぎる(一入院で複数の疾患、合併症、過剰な検査や画像)、(2)在院日数が短すぎる(化学療法など)、(3)標準化できる疾病で診療にバラつきがある(パスが浸透していない)、(4)診断を要するまでに時間がかかる(救急患者の検査や画像など)、(5)DPCコーディングが間違っている(病名の選択、処置1と2漏れなど)――に集約されます。そしてこれらは、(a)標準化、クリティカル・パス推進(エビデンスやベンチマークなどで)、(b)診療ガイドライン遵守、(c)適切なDPCコーディング―などいずれかの明確な改善策を明示することができます。改善提案を、これらのいずれかに絞り込むことが重要です。

 分析をすると、さまざまな改善提案の候補が浮かんできます。しかし、上記のようにしっかりと明確な改善提案までをエビデンスやベンチマークを持って示せる論点に特化することができれば、それは「改善すべき(可能)こと」です。そのことを理解してもらうことさえできれば、医師の関与と協力を格段に得やすくなります。

「型」は成功の確度を高め、効率化促す

 このことはまさに、ウェブマーケティングで用いることが多い「Contents is King」(内容こそ最重要)です。ウェブの世界ではこれまで、有効とされるさまざまな技術やマーケティング手法があり、それらがもたらす影響も大きいため、小手先のテクニックを重視する傾向にありました。しかし、長年の試行錯誤と事例分析の結果、結局、最も大きな影響を及ぼすのはコンテンツの内容であるという、よくよく考えれば当たり前の大原則に立ち返るための教訓とも言える言葉です。

 一方、テクニックも重要です。あくまで、内容があった上でのテクニックですが、内容とテクニックの両方を備えれば、より良い資料を作成することができます。テクニックはさまざまですが、最も重要で身に付けるべきなのは、説得力のある資料の「型」です。

 病院ダッシュボードを用いれば、分析結果の図表を瞬時に分かりやすく表示できるほか、印刷したり、資料作成ソフトに貼り付けたりなど、簡単に資料作成が可能です。ただ、簡単だからと言って、「あれもこれも重要」と膨大な資料を作成しても、忙しい医師やメディカルスタッフの目に止まりません。簡潔に、短時間で誰もが納得する資料には、ある程度の「型」があります(図表)。

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 病院ダッシュボードでは例えば、平均在院日数、抗生剤、リハビリなどの分析の入口の大枠が分かる図表「ロードマップ」があります。まずは大枠から捉えて、「平均在院日数は他院と比べて長いのか短いのか」「抗生剤の平均投与金額が高いのか低いのか」「リハビリが必要な患者にしっかりとリハビリが提供できているのかどうか」などのポイントを押さえて、客観的なデータで課題点を示します。その上で、その課題を解決するための提案事項を列挙していきます。

 こうした「型」は、GHCの長年のコンサルティング経験と実績に基づくものです。必ずしも「型」ですべてを改善できるとは限りませんが、型があると成功の確度は高まります。また、分析や資料作成にかける時間を大幅に短縮させることもできます。分析や資料作成に汗をかかず、より多くの改善活動を推進していく方向に注力することが、効率的かつ効果的な経営改善への近道と言えます。

 次回は、最終回となる「効果的なプレゼン方法」について学びます。

【連載◆病院ダッシュボード入門講座2016~17】
(1)病院の経営改革ファーストステップ、たった4つの要点
(2)人を動かす資料に絶対必要なたった一つのこと
(3)伝わるプレゼンテーション(2月更新予定)

解説を担当したコンサルタント 薄根 詩葉利(うすね・しより)

morimoto 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント兼カスタマーサポート担当。
国際医療福祉大学医療福祉学部卒業。高度急性期病院の診療録管理室勤務を経て、GHCに入社。診療情報管理士の資格を持ち、DPC分析全般を得意とする。「コンサル視点が瞬時に分かる」をコンセプトに開発された次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のカスタマーサポートも務める(関連記事『データ軸にパス見直し、および入院医療の外来化を推進、II群病院の維持に貢献―病院ダッシュボードユーザー会』)。
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