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医療資源投入「入院2-3日までに集中」-地域医療構想、年内にもガイドライン案

2014.12.13.(土)

 医療提供体制の再編に向けて国が定める「地域医療構想の策定ガイドライン」の具体化を話し合う検討会が12日開かれ、厚生労働省は「高度急性期」や「急性期」のニーズに関する集計結果を示しました。診断群分類(DPC)ごとに検査や投薬などに伴う医療資源の投入量の推移を分析すると、入院した日から2-3日後までに集中していました。同省では、医療資源の投入量をニーズとみなし、高度急性期と急性期の機能を線引きする考えを改めて示しました。次の会合は早ければ年内に開かれる見通しで、急性期医療へのニーズを疾患ごとに盛り込んだガイドライン案を提示したい考えです。

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医療資源投入量から見る急性期病院・急性期医療

 ただ、入院が長引いても医療資源の投入量が大きく変化しない疾患もあり、こうした多様性も踏まえて疾患(主要診断群分類)ごとに高度急性期の機能を線引きする方針です。
 
 厚労省はまた、4つの医療機能のうち「慢性期」へのニーズは、在宅医療と一体ととらえ、地域ごとの受療率を指標に割り出す考えを示しました。急性期とこれら以外への医療ニーズを「回復期」の患者数と位置付けるイメージです。

 急性期医療のニーズを疾患ごとに把握するため、厚労省では入院患者数(推計)の多い255の疾患やけがをピックアップ。これらに該当するDPCごとに、医療資源投入量が入院初日からどう推移しているかを集計し、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」がこの日開いた会合に結果を提示しました。

医療資源投入量(中央値)は、入院初日から2-3日で特に高く、その後、落ち着いていく傾向にある

医療資源投入量(中央値)は、入院初日から2-3日で特に高く、その後、落ち着いていく傾向にある

 それによりますと、例えば「肺炎、急性気管支炎(15歳以上)」(手術なし、手術・処置等2なし)では、入院翌日から患者数が大きく減少し始め、医療資源の投入も減っていました。同省は、多くの疾患では入院2-3日までに資源投入が特に多く、その後は一定の水準で安定しているとの認識を示しました。

 高度急性期の機能をカバーする病棟や病床の例として、厚労省では救命救急病棟や特定集中治療室(ICU)、ハイケアユニット(HCU)を挙げていて、これらでどのような患者を受け入れているかも踏まえて線引きの方法を固めます。同省医政局の北波孝・地域医療計画課長は、「医療資源投入量が特に高い段階の患者層を高度急性期の患者数とする。基本的には、医療資源投入量で分けられる所は分けていきたい」と説明しました。

 ただ、「急性白血病」(手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし)では入院期間が長引いても患者の数に大きな変化がないなど、疾患によって傾向に差がありました。佐々木昌弘・医師確保等地域医療対策室長は、「入院後何日目だからと言って、必ずしも同じ医療資源の投入量とならず、丁寧なデータの見方や分析が必要」との認識を示しました。

 医療資源投入量で高度急性期を線引きする形だと、不必要な検査の実施や薬剤の投与を促しかねず、この日の意見交換では厚労省案に慎重な意見が挙がりました。これに対して北波課長は、現時点で利用可能なデータを使って線引きを考える必要があると強調し、理解を求めています。

 入院後の資源投入量の推移に着目して急性期医療を定義付けるべきだという考え方は、相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)が12年末、当時の「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」で提案していました。(医療資源投入量から見る急性期病院・急性期医療を参照)

療養病棟の入院受療率に5倍の格差


 一方、慢性期機能へのニーズは在宅医療と一体のものととらえて、そのうちのどこまでを慢性期で対応するのか、地域ごとの入院受療率を基に見極める方向性です。慢性期の患者を受け入れる療養病棟では診療報酬を包括算定するため、医療行為を出来高換算して医療資源の投入量を分析するのが困難で、これとは別の指標が必要だと判断しました。

 入院受療率は、入院患者の発生率と平均在院日数を基に割り出します。厚労省の調べでは、介護保険適用型も含む療養病棟の入院受療率(性・年齢階級調整後)は、高知の614が最高で、最低の長野(122)とは5倍以上の開きがあります。

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