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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

【介護報酬改定2015総点検(1)】療養機能強化型の介護療養を新設

2015.1.5.(月)

 2015年度介護報酬改定が大詰めを迎えます。9日の社会保障審議会・介護給付費分科会で基準省令改定案への諮問が行われ、その後、改定率の決定を経て、単位数改定案を近く諮問・答申する見通しです。分科会によるこれまでの審議の中から、病院に関連の深い項目を2回に分けておさらいしておきましょう。

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 介護療養型医療施設は17年3月で廃止される方針こそ変更されていませんが、厚生労働省は「医療ニーズの高い中重度要介護者への対応」「看取り・ターミナルケア中心の長期療養や、喀痰吸引、経管栄養等の医療処置を担う機能」を重視し、「療養機能強化型介護療養型医療施設」(仮称)という新類型を提案しています。

介護療養では、他の施設に比べて経管栄養、喀痰吸引、摘便、浣腸等の医療行為を必要とする患者割合が多い

介護療養では、他の施設に比べて経管栄養、喀痰吸引、摘便、浣腸等の医療行為を必要とする患者割合が多い

 具体的には、次の5要件を満たした介護療養型医療施設の基本報酬を高く設定しようというものです。

(1)入院患者のうち「重篤な身体疾患を有する者」と「身体合併症を有する認知症高齢者」が一定割合以上

(2)入院患者のうち「一定の医療処置を受けている人」が一定割合以上

(3)入院患者のうち「ターミナルケアを受けている患者」が一定割合以上

(4)生活機能を維持改善するリハビリを行っている

(5)地域に貢献する活動を行っている

 分科会では、この提案を歓迎する声が目立ちますが、「介護療養を17年3月末で廃止する方針と矛盾する」との批判も一部にあり、最終段階での調整が注目されます。

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在宅機能強化型の老健施設、報酬引き上げへ

 介護老人保健施設に関しては、在宅復帰を推進するために前回改定で新設された「在宅機能強化型」と「在宅復帰・在宅療養支援機能加算」の報酬が引き上げられる模様です。

 老健施設は、病院と自宅との「中間施設」として1986年の老人保健法改正で設立されました。しかし、介護保険施設となってから入所期間が延びてしまったため、2012年度の前回の報酬改定で「在宅復帰や在宅生活支援の機能を強化する」場合、機能強化の度合いに応じて高い基本報酬を認めました。

在宅強化型老健施設等の算定要件一覧

在宅強化型老健施設等の算定要件一覧

 国が2025年をめどに構築を目指す「地域包括ケアシステム」では在宅などで容体が急変した時の後方病床も重要で、今回の改定でどのような単位数が設定されるか気になるところです。

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訪問看護に新加算、重度者対応を推進

 訪問看護では、医療ニーズの高い中重度者への対応を強化するため、次の3加算すべてを一定割合以上算定している事業所を、新たな加算で評価する方針です。

●緊急時訪問看護加算:電話などで常時対応できる体制や、緊急時に訪問看護を行う体制を評価

●特別管理加算:特別な管理を必要とする利用者に対して計画的な管理を行う体制を評価

●ターミナルケア加算:在宅での死亡までの看護を提供する体制を評価

 これらはいずれも医療ニーズの高い利用者へ質の高い訪問看護を提供する「体制」を評価するものです。この3加算を十分に実施している「より体制を充実した質の高いサービス提供を行っている訪問看護事業所」をこれまで以上に手厚く評価するものです。

 さらに、病院・診療所が行う訪問看護の報酬を引き上げる方針も示されています。病院・診療所の訪問看護は減少傾向にありますが、厚労省老健局の迫井正深老人保健課長は「病院や診療所に勤務する看護師にも、訪問看護に目を向けてもらいたい」と訴えています。

病院・診療所からの訪問看護は減少し、2014(平成26)年度には1687か所にとどまる

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