機能強化型介護医療施設の新設を提案―厚労省、17年度末の廃止を前提
2014.11.6.(木)
厚生労働省は、2015年度に実施する介護報酬改定で、重篤な身体疾患を持つ高齢者やターミナルケアを受けている患者を一定以上受け入れている介護療養型医療施設を重点評価する方針です。同省が行った調査の速報値では、介護療養型医療施設では、介護老人保健施設(老健)などほかの介護施設に比べて重症の患者の受け入れ割合が高かったり、看取り件数が多かったりする傾向があることが分かっていて、本格的な高齢社会の到来を見据えてこうした機能を強化する狙いです。
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同省では、こうした施設を「療養機能強化型介護療養型医療施設」(仮称)と位置付け、基本報酬を新しく設定する方針です。社会保障審議会・介護給付費分科会が6日に開いた会合で見直し案を提示しました。
介護療養型医療施設は、介護保険適用型の療養病床を整備して医療が必要な要介護高齢者の長期療養を受け入れるのが役割です。ただ、医療保険適用型の療養病床との役割分担があいまいなこともあって、介護療養病床は17年度末に廃止されることが決まっていて、現在では新設が認められていません。同省老健局の迫井正深老健課長は、今回の提案がこうした方針を前提にしたものだと説明しました。
同省によりますと、介護療養病床は14年4月現在、全国に約6万7000床あるといい、同分科会が8月に開いた会合では、介護療養病床がカバーしているターミナルケアや看取りの機能を存続させる必要があるとの認識を示していました。
厚労省案によりますと、療養機能強化型介護療養型医療施設(仮称)の要件として現時点で想定しているのは、▽重篤な身体疾患か身体合併症がある認知症の高齢者が一定割合以上いる▽一定の医療処置を受けている患者や、ターミナルケアを受けている患者が一定割合以上いる-などです=図(図をクリックすると拡大)=。
このほか生活機能を維持改善するリハビリテーションや、地域に貢献する活動の実施状況を踏まえて、従来の介護療養型医療施設よりも手厚い報酬にします。重篤な患者の具体的な受け入れ割合などは同分科会で引き続き詰めます。
また、提案した5つの要件のうち、リハビリテーションの実施や地域貢献の活動は、介護施設としてのいわゆる「理念規定」として位置付ける方針です。迫井課長は会合終了後、記者団に対し、これら2つの要件について、あまり高いハードルにする考えはないと説明しました。
厚労省はまた、老健施設による入所者の在宅復帰支援を一層促すため、リハビリテーションスタッフを手厚く配置している場合に、「在宅強化型基本施設サービス費」や「在宅復帰・在宅療養支援機能加算」の評価を手厚くすることを提案しました。