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介護報酬改定率、全体2.27%引き下げで決着―9年ぶりマイナスに

2015.1.11.(日)

 塩崎恭久厚生労働相は11日、2015年度予算案の編成をめぐって麻生太郎財務相と折衝し、介護報酬の改定率を全体でマイナス2.27%とすることで合意しました。塩崎厚労相は折衝終了後、厚労省内で記者会見し、「財政が厳しい中でもやはり、質の改善を図りながら効率化することには変わりはない」などと強調しました。同省は、4月に予定している介護報酬改定で、収支状況が比較的良好な介護保険サービスの報酬を適正化する一方、介護職員の処遇改善に取り組む事業者などへの報酬は手厚くする方針です。

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 15年度の介護報酬改定をめぐっては、厚労省側は当初、報酬引き上げを主張していましたが、この10月に予定していた消費増税が見送られたのを受けて断念しました。介護報酬が引き下げられるのは06年以来、9年ぶりです。最大の焦点になっていた介護報酬の見直しが決着したのを受けて、政府は14日に15年度予算案を閣議決定します。
 
 介護報酬の改定は3年ごとに実施されていて、4月の改定では各サービスの収支状況などを踏まえて4.48%適正化します。ただ、例えば高齢者の看取りなどに積極的な介護療養型医療施設や、病院や診療所による訪問看護サービスの評価は相対的に手厚くすることが決まっていて、今後は限られた財源をどう配分するかに焦点が移ります。

 厚労相の諮問機関である社会保障審議会・介護給付費分科会の委員会が実施した調査の速報値では、給与費などのコストを収入から差し引いた際、黒字になるかどうかを見る「収支差率」は、計21通りの介護保険サービスのうち、特定施設入居者生活介護など19のサービスで改善していました。

 塩崎厚労相は折衝後の会見で、介護報酬について、「正すべきところは正し、充実すべき所は充実することが大切だ」と述べました。

介護職員の給与は月額1.2万円増を想定、新基準を設定


 一方、消費税率を8%に引き上げたのに伴う財源のうち1100億円規模を使って、介護職員の処遇改善に積極的な事業者と共に、中-重度の要介護者や認知症の高齢者に良好なサービスを提供する事業者を評価します。

 介護現場では職員の労働環境の悪化が指摘されているため、当初は年度内に廃止する予定だった「介護職員処遇改善加算」を存続・充実させます。

 厚労省は、この加算を原資にして処遇改善を確実に進めている事業者を想定して、新しく基準を作る方針です。同省は、これまでに加算を算定していた事業者がこの基準をクリアすれば、職員1人当たりの給与をこれまでより1.2万円程度(月額)増額できると見込んでいて、新たな基準は原資を処遇改善に確実に反映させる内容にするとしています。

地域医療介護総合確保基金、介護分野は700億円規模に

 14年4月に実施した消費税率引き上げに伴って15年度に見込まれる8.2兆円の財源はすべてを社会保障の充実・安定化に使うことになっていて、この日の大臣折衝では、社会保障の充実にはこのうち1.35兆円を充てることでも正式に合意しました。

 医療、介護サービスの総合的な整備に活用する「地域医療介護総合確保基金」(新基金)では、医療分野の事業に14年度並みの900億円程度を充てる一方、介護分野の事業の予算として新たに700億円程度を確保します。このほかのメニューごとの財源は、国民健康保険の財政支援の拡充に1900億円程度、高額療養費制度の見直しに250億円程度などです。

 地域医療介護総合確保基金は、医療機関の病床の機能分化と連携や、在宅医療・介護を推進する事業を対象に都道府県ごとに設置されています。初年度の14年度には医療分野の事業に対象が限定されましたが、15年度から介護施設の整備などの事業も加わります。

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