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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

医療費適正化は「質担保する仕組み」の導入が前提、諮問会議に有識者が提言

2015.2.16.(月)

 今月12日に開催された経済財政諮問会議の資料の中に、「医療費高騰の要因として、診断・治療の質のばらつきが考えられることから、医療者が行う診療の質を担保する仕組みの導入」が必要との文言が明記されました。少し調査しましたので情報共有させてください(「2015年2月12日 経済財政諮問会議」)。

 このコメントは同会議の専門調査会「政策コメンテーター委員会」の井伊雅子氏(一橋大学国際・公共政策大学院教授)によるもので、日本の医療制度は自由放任主義になりつつあると警鐘を鳴らした上で、「政府がまずやるべきことは、医療者が行う診療の質を担保する仕組みを導入することだ」としています。

「医療の実態は自由放任主義」「質とコストの評価が欠如」

 政策コメンテーター委員会は2014年7月に設置されました。約60人の有識者が重要な政策課題の在り方について幅広く知見を収集・集約し、経済財政諮問会議に提供しています。12日の会議の資料のベースとなったのは、6日に公表された井伊氏の提言です(資料はこちら)。

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 その中で、井伊氏は日本の医療提供体制について「行政の政策的な介入が少ないために世界でも類を見ない自由放任主義的な医療提供体制になっている」と指摘。「日本の医療の実態は過度に商業化された自由放任主義になりつつある」とした上で、「診療の質とコストを評価し管理するシステムが欠如していることも日本の医療制度の特徴」と強調しています。

 医療の質とコストを評価し管理できていないことから、「患者が受ける診断・治療の質にばらつきがあり(診療の標準化の欠如)、そのため、医療費が(そして介護費も)高騰している。医療費高騰化の要因は高齢化や技術革新だけではない」と追及。レセプトの電子化やマイナンバーの導入についても、それ自体は重要な政策としつつも「根本的な解決策とはならない。ましてや政府が提案しているような患者の自己負担増など、受療者(需要側)の行動を変える政策では、診療の質を標準化することは解決できず、医療・介護費の適正化も難しい」としています。

 診療の質を担保する仕組みについては、17年にスタートする専門医研修(後期研修)に着目し、「質を担保した診療は、医療費・介護費の適正化のための前提条件」と提言しています。

 井伊氏は14年に設立された日本専門医機構の議論の行方に注目しているようですが、GHCも医療の質とコストのばらつきに着目し、「医療の価値(医療の質/コスト)」を向上させる手法の一つとしてベンチマーク分析の重要性を訴えています。

 こうした点を重視する政策がこれからの社会保障改革に組み込まれるかどうか、引き続きウォッチしていきたいと思います。

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