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厚労省・佐々木氏、病床機能報告の基準「分かりやすく」―10月に向けて検討

2015.4.7.(火)

 厚生労働省医政局の佐々木昌弘・医師確保等地域医療対策室長はメディ・ウォッチ編集部の取材に応じ、昨年秋に運用がスタートした病床機能報告制度について、地域医療構想策定ガイドラインの検討会での議論や昨年度の初回の報告を踏まえて高度急性期や急性期医療等の基準を、より分かりやすくする必要があるとの認識を示しました。

 佐々木室長は、こうした基準を医療現場だけでなく、患者側にも分かりやすいものにする必要があると強調していて、早期の合意形成を目指します。同省では、全国の医療機関が各都道府県に病床機能を報告する10月に間に合うように検討を進めたい考えです。

 病床機能報告制度の運用は昨年10月にスタートし、各医療機関は「定性的な基準」を踏まえて毎年7月現在の病床機能の状況と6年後の意向を報告します。この基準では、例えば「急性期」の機能を「状態の早期安定に向けて医療を提供する機能」などとしていますが、ガイドラインの検討会でも「初年度には何も比較するものがない状態で報告した。報告をやり直すべきではないか」「どのような入院患者を病床に受け入れているかだけでなく、病棟での人員配置や、病院に共通の機能や設備なども示すべきではないか」との意見が挙がっていました。このため厚労省は、医療機関にとっても患者にとっても、より分かりやすい基準を検討する方針です。

 佐々木室長はメディ・ウォッチ編集部のインタビューに、「出せるのならより早く出した方がいい」と述べ、病床機能報告制度に沿って全国の医療機関が各都道府県に報告する10月までの合意形成を目指す考えを示しました。ただ、「現場の混乱を来さないことが絶対条件」とも強調しています。

 佐々木室長はまた、都道府県が将来の医療ニーズを推計するのに使う計算式について、「(こうした計算式を設定したのは)歴史上初めて。この計算式でよかったのかは当然、検証されるべきだ」と述べ、必要に応じて将来的に見直す可能性をあらためて示唆しました。

 各都道府県による地域医療構想の策定では、医療提供体制の将来ビジョンの前提となる「2025年」時点での医療ニーズを推計する際の目安として、高度急性期と急性期の境界線を「医療資源投入量1人1日3000点」(入院基本料相当などを含めず)、急性期と回復期の境界線を「同1人1日600点」などと設定し、これらを上回る患者数をそれぞれ高度急性期、急性期のニーズと見なします。

 ガイドラインの検討会では、高度急性期や急性期機能の推計に際して、患者ごとの診療行為の出来高換算による医療資源投入量だけでなく、病棟での人員配置といった労働投入量も考慮すべきという意見がありました。

 地域医療構想(地域医療ビジョン)は、高齢化が一層加速し出す「2025年」をにらんで各都道府県が地域ごとの医療提供体制の再編を進める上での、いわばロードマップという位置付けで、国の策定ガイドラインと、「病床機能報告制度」で各医療機関が報告した内容を踏まえてビジョンを固め、医療機関の自主的な取組や医療機関同士の協議によって各機能の実際の供給量を必要量に近づけていきます。

■脳卒中などは個別に将来ニーズを推計

 佐々木室長はまた、脳卒中やがん、心筋梗塞など主要な疾患の患者数の推計を進めていることを明らかにしました。地域医療構想のガイドラインでは、高度急性期や通常の急性期医療のニーズをすべてのDPCを積み上げて推計するとしていますが、佐々木室長はインタビューに、「病気ごとにニーズを出した方がよりリアリティーが湧くし、医療機関が次にどうするかを判断したり議論したりしやすくなる。住民にとってもイメージが湧く」と答えました。

 推計値が明らかになるのは5月ごろの見通しです。

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