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国家戦略特区における先進医療の審査期間短縮特例、対象病院の選定基準は従前どおり―中医協総会

2015.4.22.(水)

 中央社会保険医療協議会は22日、「国家戦略特区における保険外併用療養の特例対象となる医療機関」の選定基準について議論し、(1)選定基準はこれまで通り「臨床研究品質確保体制整備病院」(従来の予算措置上の臨床研究中核病院)と同水準にする(2)新たな「医療法上の臨床研究中核病院」の承認要件を踏まえて、選定基準を必要に応じて見直していく―方針を固めました。

4月22日に開催された、「第295回 中央社会保険医療協議会・総会」

4月22日に開催された、「第295回 中央社会保険医療協議会・総会」

 現在、この特例では▽がん研究会有明病院▽順天堂大学医学部附属順天堂医院▽東京医科歯科大学医学部附属病院―の3医療機関が対象となっています。

臨床研究中核病院など、先進医療の審査期間を3か月に半減

 先進医療を拡大するため国家戦略特区では、「臨床研究中核病院」や「臨床研究中核病院などと同水準の世界トップクラスの国際医療拠点」では、通常6か月程度かかる先進医療の審査期間を、おおむね3か月に短縮することとされています。

 中医協では、「臨床研究中核病院などと同水準」かどうかを判断するために、▽人員体制(治験・臨床研究に精通する医師や、データマネジャー、CRCなどを専任で各1人以上配置している)▽治験の実績(治験数とその内容)▽総合評価(臨床研究を積極的に推進する体制が整備されているかなど)―などを評価する基準を作成し、既に運用が始まっています。

 ここでいう「臨床研究中核病院」は、「臨床研究品質確保体制整備病院」を指しています。しかし、後に、国際的な水準の臨床研究を行う体制づくりを目指し、新たに「医療法上の臨床研究中核病院」の承認要件が定められました。具体的には、▽過去3年間に医師主導治験4件以上か臨床研究80件以上を実施▽ほかの医療機関が行う特定臨床研究に対する援助の件数が過去1年間に15件以上▽特定臨床研究を実施する者を対象とする研修会の開催が過去1年間に6件以上実施―など、従来よりも厳しいものとなっています。

 こうした状況を踏まえ、中医協では「国家戦略特区で特例を認める基準を、医療法上の臨床研究中核病院の承認要件と整合性のとれたものとすべきではないか」との指摘が診療・支払側の双方から出されていました。

特例は「予算上の臨床研究中核病院と同水準」の病院も対象

 この点について厚労省が内部で検討し、次のような対応をしてはどうかと中医協総会に提案したのです。

(1)選定基準は、これまで通り「臨床研究品質確保体制整備病院」(従来の予算上の臨床研究中核病院)と同水準のものとする

(2)申請に当たっては、新たな「医療法上の臨床研究中核病院」の承認要件に基づいた様式を活用し、併せて自治体の特区における戦略性も評価する

(3)既に選定された特例対象の医療機関について体制の整備状況をフォローアップし、併せて「医療法上の臨床研究中核病院」への応募状況・体制整備状況のフォローアップ結果を踏まえて、再評価を継続する

 (1)で「従来予算上の臨床研究中核病院と同水準」という基準を用いる点について、厚労省保険局医療課の佐々木健企画官は「特例措置が定められた時点では、『医療法上の臨床研究中核病院』は存在しておらず、『予算上の臨床研究中核病院』を念頭に『同水準』の医療機関で特例を認めることとされた」ことを説明しています。

「医療法の臨床研究中核病院」の状況踏まえ、必要な見直し

 しかし、厚労省の提案に診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は「特区では、将来的に全国展開を見据えた事業が行われる。特区で緩い(予算上の臨床研究中核病院と同水準)基準を用いることは好ましくない。予算上の臨床研究中核病院である15病院では不適切な事例も多く発生しており、再考すべきだ」と強い批判しました。

 このため、厚労省案の(1)の基準に「選定基準について、引き続き必要な見直しを行っていく」ことが組み込まれることになりました。中川委員も「予算上の臨床研究中核病院と同水準」という基準を固定しないことに納得し、中医協として了承されています。

 佐々木企画官はか「予算上の臨床研究中核病院でも、ガバナンスや倫理委員会の設置など、臨床研究を行うに当たって必要な体制は確保しなければならないこととなっている」点を強調。今後の「医療法上の臨床研究中核病院」の指定状況なども勘案しながら、特例対象の選定基準について継続して検討していくこととなっています。

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