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ライター・三竦の霞ヶ関ウォッチ 社会医療法人の収益事業、逆転容認のわけ

2015.5.11.(月)

 2005年からの医療法人制度改革をめぐる検討では、公益性の高い医療法人のベースとして、租税特別措置法上の特定医療法人のほか、医療法上の特別医療法人が参考にされた。このため、特別医療法人に対しては既に容認されていた収益事業の取り扱いが焦点になった。当時、法人税非課税を目指し、税務当局と厳しい折衝を行っていた厚生労働省内には、収益事業も行い、かつ法人税も非課税になるような医療法人は認められないといった悲観的な意見もあったと言われている。

 また、病院を開設している医療法人は、医療事業や健診事業といったメーンの事業を遂行していくだけで十分に収益を確保できるため、医療事業とは違う事業をあえて展開するメリットは少ないだろうとの意見もあった。医療法人に認められている附帯業務の拡大だけで十分に対応できるという判断もあったのだろう。

 こうした消極的な意見が多い中で、既に特定医療法人や特別医療法人に移行済みの経営者らから「通常の医療法人とは違うメリットを設けてほしい」という強力なメッセージが厚労省に寄せられた。特別医療法人の中に、既にさまざまな収益事業を展開しているケースがあったのも大きな背景だろう。結果として厚労省側が考えを改めたことも大きい。

 高齢化の進展によって今後も医療費が伸びていく中、地域の重要な産業として医療事業が今後注目されるだろう。その際、地域の重要な産業を担う経営者として、医療事業以外も展開してほしいといった省内の推進派の願いが込められているのだろう。もしかすると、医療費を抑制したとしても、ほかの収益事業で、減収分を賄えるようにしたいという算段もあったのかもしれない。

社会医療法人発のヒット商品を

 どのような背景や事情があったにせよ、現に社会医療法人が収益事業を行えるメリットは十分に生かすべきだ。幸いにもほかの産業界も医療の価値に気付き始め、連携を模索する動きが活発化している。健康、美容、長寿といった消費者が関心を持ちやすいキーワードを冠した新たな商品を投入するに当たって、医療界が有する知見や信用力のほか、消費者の安心感も無視できないだろう。社会医療法人の経営者もこうしたほかの業界からのラブコールに積極に応えていただきたい。診療報酬や介護報酬の動向だけを気にするのではなく、積極的に新しい市場に打って出ることに挑戦してほしい。

 社会医療法人がプロデュースした食品、化粧品、家電製品がいつか世界市場で利用されることを筆者は夢見ている。

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