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急性期病院のメルクマール「診療密度」に矛盾-GHC「抜本見直しを」

2015.8.13.(木)

 高密度の医療を提供するDPC病院Ⅱ群としてみなされるかどうかは、今や急性期病院のステータスシンボルといった意味合いを帯びています。しかし、そのメルクマールの1つ「診療密度」の現在の仕組みがさまざまな矛盾をはらんでいることが、GHCの分析で明らかになりました。今回の分析を担当したGHCの澤田優香は、診療密度の評価の仕組みについて、抜本的な見直しが必要だと指摘しています。

 診療密度は、DPC対象病院が入院患者に提供する診療行為を出来高点数に換算することで、「1日にどれだけの密度の診療活動を行っているか」を測るものです。この値の高さは「DPC病院II群」に入るための実績要件の1つになっていて、「診療行為」「平均在院日数」「疾患構成」が計算に反映されます。GHCでは、実際に診療密度の値に最も強く影響するのはこれらのうちどれかを明らかにするため、それぞれについて診療密度との相関の強さを分析しました。

 分析は、2014年10月-15年3月に全国の640病院を退院した計185万1059症例が対象です。診療行為については、「検査や画像の金額」(1日当たり)など3項目を指標にして診療密度との相関の強さを分析しました。同じように、疾患構成では「症例数トップ50疾患の症例数と全症例に占める割合」など2項目、在院日数短縮では「効率性係数」など2項目を指標にしました=図表1=。
★20150706_メディウォッチ分析_使用図表のみ_ゆあさ_haya ①
 まず、検査・画像診断の費用と診療密度の関係を見ると、これらの費用が高くなるほど診療密度も高くなり、相関が認められました=図表2=。さらに詳しく調べると、診療密度の高い病院では超音波検査の費用が高額になる傾向でした。

 一方、後発医薬品係数との間に相関関係は認められませんでした。この係数の評価は金額ではなく数量ベースでの後発薬シェアを評価していますが、澤田は、これを診療密度の評価から切り離すべきだと指摘しています。効率性係数と診療密度との間にも相関関係は認められませんでしたが=図表3=、全国的に症例数が多い疾患(症例数トップ50)で入院期間IIを超える割合が高い病院では、診療密度が下がる傾向を確認できました。
★20150706_メディウォッチ分析_使用図表のみ_ゆあさ_haya ②

★20150706_メディウォッチ分析_使用図表のみ_ゆあさ_haya ③
 「診療行為」「平均在院日数」「疾患構成」のうち、診療密度の値を最も大きく左右するのはどれかを明らかにするため、重回帰分析も行いました。その結果、診療密度との相関関係は診療行為、疾患構成、在院日数短縮の順に強いことが分かりました。「医療の価値」(医療の質÷医療費)を高めるには、質を維持したまま入院期間の短縮を目指すのが王道なはずですが、今回の分析は、現在の評価の仕組みがこれを促す形に必ずしもなっていないことを示す結果です。

 高齢化を見据えた医療提供体制の再編が進む中で、DPC対象病院には「急性期らしさ」がますます強く求められます。ただ、「地域医療構想策定ガイドライン」の中で高度急性期が定義付けられたことを踏まえれば、高密度の病院の判断基準である診療密度の実績要件と二重で急性期機能が評価されることになります。このため澤田は、診療密度について「将来的な廃止も視野に抜本的な見直しが必要ではないか」と話しています。

※詳しい分析結果は、GHCが発行する会員向けのPDFレポート 月刊「メディ・ウォッチ」(毎月10日発行)の2015年8月号に掲載。

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■分析条件

 2014年10月-15年3月に全国の640病院を退院した計185万1059症例を対象に、診療行為、疾患構成、在院日数短縮と診療密度の相関を分析。分析指標は、診療行為が「1日当たり検査や画像の金額」など3項目、疾患構成が「症例数トップ50疾患の症例数と全症例に占める割合」など2項目、在院日数短縮が「効率性係数」など2項目=図表2を参照=。

■分析結果のポイント

・検査・画像診断のコストが高くなるほど診療密度も高くなっていた。また、診療密度の高い病院では超音波検査の費用が高額になる傾向が認められた。

・後発医薬品係数と診療密度との間に相関は認められなかった。

・効率性係数と診療密度にも相関は認められなかった。ただ、症例数が多い疾患(全国ベースでのトップ50)で入院期間IIを超える割合が高い病院では、診療密度が下がる傾向があった。

解説を担当したコンサルタント 澤田 優香(さわだ・ゆうか)

yanatori 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。看護師、保健師。
聖路加看護大学卒業後、集中治療室の勤務を経て、GHCに入社。看護必要度分析、看護業務量調査、DPC別診療科検討、病床戦略分析、マーケット分析などを得意とする。数多くの医療機関のコンサルティングを手掛けるとともに、社内のアナリスト育成や看護関連プロジェクト(看護必要度勉強会など)などにも精力的に取り組む(東京医科大学病院の事例紹介はこちら)。